ここはとある城下町にある小さめの家。
そこからはとても元気のいい声が聞こえていました。
「小太郎兄さーん、新聞とってきてー」
「何で俺がそんなことしなきゃならないんだ…ふああ」
台所に居座って、ぼーっとしながらテレビを見ているのは、この家の次男、小太郎兄さん。
「辰馬兄さんはまだ枕にしがみついて寝てた」
野菜を洗ってさくさくと包丁で切って、お皿に盛り付けていく。
「晋助兄さんはそんな辰馬兄さんを蹴って起こしてくれてる」
「…仕方ない、な」
小太郎兄さんはどうしようもない、という顔で立ち上がって玄関へ行ってくれた。
そのうちに私は少し遅めの朝ごはんを机に並べる。
朝ごはんもできたことだし、と思って辰馬兄さんの部屋に行ってみる。
「辰馬兄さーん、朝ごはんでき…」
「いい加減起きやがれこのバカ野郎!!」
「アッハッハ、朝から元気じゃのう」
がっくんがっくんと、首元をつかまれて揺さ振られているのはこの家の長男、辰馬兄さん。
そしてその揺さ振っている人、晋助兄さんはこの家の三男。
「晋助兄さん、確かに起こしてきてとは言ったけど、それじゃ辰馬兄さん死んじゃう」
「そうか?」
「うん。確実に今違う世界へ飛び立とうとしてるし」
布団の上でぐったりなってる辰馬兄さん。
…まぁ、よくあることだし、大丈夫だよね。
「、新聞とってきた…って何してるんだお前ら」
「辰馬兄さんが起きなくて」
「起きないのはお前らの所為じゃないのか?」
それからなんとか辰馬兄さんをたたき起こして、やや冷めかけてしまった朝食を食べはじめる。
私は広告を漁りながらお味噌汁をすする。
「……む。なんだこれ…ぶ、とう、かい?」
「は?」
私の横でご飯をかっ食らっていた晋助兄さんが私の持っている広告を覗き込む。
「うーんと、今日の夜…に、お城で舞踏会があるんだって。…お、参加費無料!」
「そこに食いつく辺り、さすがだな」
「だって実際うち貧乏だし。4人家族でまともに働いてる人いないじゃない」
小太郎兄さんはバイトでなんとかしてくれてる。
晋助兄さんは、なんだかちょっと危ない仕事をしてるらしい。聞いても教えてくれないんだよね。
辰馬兄さんは……うん、なにもしてないな。
「舞踏会、か。多分ご馳走とかでるよね。よし、私行ってこようかな」
「駄目だ」
言い終わった瞬間に拒否の声が上がる。
「何でよ、晋助兄さん」
「……なんでも、だ」
「いいじゃろ。も女の子じゃき、こんな家にずーっとおったんじゃ疲れるじゃろ」
「バカ。ここ。この下のところ読め」
バッ、と私からその広告を奪い取って兄さん達に見せる。
「…あー、そうだな。やめておいたほうがいいぞ、」
「わしは別に」
「よくないだろ。…な?」
「…アッハッハ、おっそろしーのぅ…」
なにやら兄さん達は満場一致…?したらしい。
「ま、いいけど。じゃあ私の変わりにしっかり食材とってきてよね!」
「ああ。任せておけ」
「は醤油の安売りにでも行ってろ」
「え!?今日醤油安売り!?いいい行かなきゃ!!」
安売りは逃しません
(っていうかもうすぐお昼じゃない!ほらさっさと兄さん達は準備する!私は買い物行かなきゃ…!)
あとがき
どうしようもなく始まった一万ヒットお礼。
…うーん、短期で…終わる予定、です。
2008/1/6