キーンコーン、と授業終了の鐘が響く。

今日の授業はこれで終わり。

銀八先生の「じゃあ解散ー」という気の抜けた声が耳を通り抜ける。

 

 

あたしは帰る支度もせずに、窓の外を眺めていた。

ー!帰るアルー!」

いち早く帰り支度を済ませた神楽ちゃんが、あたしの顔を覗き込む。

 

 

「あ、うん、そうだね」

へらり、と笑って言う。

「…ちゃん、何かあったの?」

後ろから鞄を持って尋ねてきたのは妙ちゃん。

 

「えっ!?あ、いや、何でもないよー」

「でも、今日ずっとぼーっとしてたわよ?元気ないみたいだし…」

心配そうな妙ちゃんを見ながら、あたしは帰り支度を始める。

 

 

 

、誰かにイジメられたアルか!?そんなもん私が返り討ちにしてやるネ!」

妙ちゃんの疑問にハッとした神楽ちゃんがばんっとあたしの机を叩いて言った。

「そうね。4分の3殺しくらいじゃ軽いかしら」

 

「うおおおーい!違う!違うから!!イジメなんて全然無いから安心してェェ!!」

この2人を放っておいたら、事件が起こってしまう。

しかも今回は私の所為で死人がでてしまいそうだ。

 

 

 

がたがたっといすから立ち上がって、今にもいるはずのない犯人を捜しに行こうとする二人の手を掴む。

「じゃあ、どうしたの?」

「うーん…これといって悩みがあるわけじゃないんだけど、なんか、気が沈んでるというか…」

 

 

相談するほどのことじゃない。

なんか、どこか心の奥がもやもやしているだけ。

別に苛められたとか、嫌なことがあったとか、そういうわけじゃない。と思う。

 

でも、何かがつっかかって、もやもやしている。

 

 

 

「…そういうわけで、別になんでもないんだ。明日には多分復活してるから、心配しないで」

にこり、と笑うものの、二人の表情は不安げなまま。

あぁ、そんな顔させたくないのに。

 

 

 

いたたまれなくなって、あたしは帰り支度を再開する。

教科書を鞄に詰め込んで、忘れ物がないか確認して、顔を上げる。

 

 

「…ちゃん、今日はこの後用事あったりする?」

「え?ううん、このまま家に帰るつもりだけど…」

「じゃあ、今から遊びに行くアル!」

ぐいっとあたしの手を引いて神楽ちゃんは走り出す。

 

 

「え?何、なにごと!?」

1人状況についていけず、疑問の声を上げる。

 

「そういう原因のわからない悩みなら、遊んで吹き飛ばすのが一番よ」

にっこりと笑いながら妙ちゃんも廊下を走る。

 

 

「手始めに喫茶店行くアル!さっき出席簿にはさんであった割引券くすめておいて正解ネ!」

「さっきって…それ銀八先生のじゃないの!?」

というかあの先生、出席簿に何はさんでんの。

 

 

「大丈夫よ、たまには糖分も我慢させないと、糖尿になるわよあの先生」

「そうアル!銀八せんせーの糖尿防止と、の息抜きで一石二鳥ネ!」

引きずられるようにして階段を話しながら駆け下りる。

 

 

あぁ、あたし、いい友達を持ったなぁ。

 

 

「あたしにつき合わせてごめんね、妙ちゃん、神楽ちゃん…っ!」

 

 

「何言ってるのよ。私たちが、ちゃんを引きずりまわしてるのよ」

「そうヨ。だから、謝ることなんてないネ!」

 

 

「…ん、うん、ありがとう!!」

 

 

 

2人の真ん中で、手を引かれて走り続ける。

きっと明日には、ううん、帰りにはこのもやもやも治っているだろう。

 

 

 

 

 

友情リフレッシュメント




(「今度何かあったら、遠慮しないで相談してね」「のためならなんでもするアル!」)


 

 

 

 

 

あとがき

女の子友情物語です。

たまに、原因不明の悩みで気が沈むことって…無いですかね?(ぁ

2009/03/07