「じゃあ、3回目の昼にハートの城の前で待ち合わせな!遅刻しないようにな、!」

「その言葉そっくりそのままあんたに言ってやりたいわ、エース」

 

 

 

時間帯くらいは守って

 

 

 

そんな約束を、時計塔前でしたのは今から数時間帯前。

不思議なことに、夕方と夜が交互に来てばかりでなかなか昼にならなかった。

 

 

そして、もう何時間帯経ったのか数えられないくらいになった今、約束の昼が訪れた。

 

 

 

 

 

 

滞在場所の帽子屋屋敷から歩いて、ハートの城を目指す。

そうしたら、城の前についたところで偶然ペーターに会った。

ちょうどよかったから、「エースは来てる?」って聞いたら「来てませんよ」という返事が返ってきた。

 

 

「…で、来ると思う?」

「来ないんじゃないですかね。エース君が約束の時間に間に合うなんて、奇跡に近いですよ」

「やっぱり、そう思うよね」

にこやかに、白ウサギさんは笑う。

 

今回は昼までに大分時間があったから、もしかしたら、という期待が音を立てて崩れた。

まぁ、音立てるほどの期待してなかったけどね!

 

 

 

 

「もー、待ってろって言ったのエースなのに」

「仕方ないですよ、。彼は筋金入りの方向音痴…あ!アリスー!」

「え?アリス?どこ?」

突然ビシッと耳を立たせてペーターが叫ぶから、辺りを見回してみたけど、アリスの姿は見えない。

 

 

「あそこですよ!ほら、庭の迷路の入口!」

見えないよ!!どんな視力してんのあんた」

「ああっ、すいません、!僕は一刻も早くアリスのところへいかなくてはいけません…!」

 

…聞いちゃいねぇ。

ついでにペーターにはアリスレーダーでもついているんじゃないかとすら、思ってしまった。

とりあえず耳をひょこひょこと動かしているウサギさんを見送ってあげようとした。

 

「いってらっしゃ…って早ッ!!」

ウサギさんは、物凄く勢いよく、走っていった。

「あはは…頑張れ、アリス」

 

 

そうあたしが呟いた時、時間帯は昼から夜へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもう、結局来なかったし!」

帽子屋屋敷まで帰るのもめんどうだったので、ハートの城の一室を一晩借りることにした。

「ごゆっくりしていってくださいね」と言ってくれたメイドさんに感謝しつつ、あたしはベッドに仰向けに寝転がった。

 

 

 

「あーもう、やっぱりちゃんと予想してあと3回くらい後の昼に来ればよかったなー…」

今頃、帽子屋屋敷ではお茶会が繰り広げられているんだろうな。

ブラッド、お茶菓子とっておいてくれるかなー、なんて思いながら、あたしは目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…、…おーい、ー?」

 

誰かがあたしを呼ぶ声がする。あぁ、折角気持ちよく寝てたのに。

もう少し眠っていたいな、と思っている所為か、なかなか目を開けられない。

 

「…起きてくれないなら、このまま襲っちゃうぜ」

という声と最後に耳に吹きかけられた息。

 

「ふぎゃああああ!!!」

「あ、起きちゃったんだ」

がばっと掛け布団を跳ね除けて体を起こす。う、うおお、耳が!耳がぞわぞわするッ…!!

 

 

「エエエエース!」

「あははは、すごいどもってるぜ!あと耳真っ赤!」

「誰の所為だと思ってんのかな、この卑猥騎士め」

 

 

 

 

息をかけられた方の耳を手で押さえながら、荒くなった呼吸をととのえる。なんて目覚め方。

「っていうか、さっき疑問系じゃなかったよね。襲っちゃうぜ、って確定だったよね」

「だってってば何回呼んでも起きてくれないからさー」

ベッドのふちに座って笑いながら言うエース。

 

「しかもデートすっぽかしただろ?」

 

「…はい?」

 

 

なんだそれは。

むしろすっぽかしたのはエースのほうじゃないか。

 

「あたしちゃんと城の前で待ってたよ、さっきのお昼の間ずーっと」

「俺だって待ってたんだぜ」

「え。嘘でしょ、あたし昼の時間の間ずっと城の前に立ってたんだけど…あんた、どこから来たの?」

お城の入口に立って待ってたわけだから、必ず会えると思ってたのに。

 

 

「えーっと…城へ向かう途中に森で迷ってたんだけど、今回は運よく城の前に出れたんだ」

エースはにこにこと笑いながらそう言って、ふと思いついたように指をぱちんと鳴らした。

「あ、でも今回は城の前の迷路は通ってないなぁ」

 

 

…や、ちょっとまて。迷路状の庭を抜けて来ない限り、城の前には着けない。ってことは。

「エース!それ城の前じゃなくて、裏側!!!

 

「えぇー。でも俺から見たら、がいた方が裏側だぜ?」

「あたしがいたのは入口ですー。完璧に前ですー。よって、遅刻したのはあんた!」

ビシッと指を突きつけて言い切る。

ふ…勝った…!

 

 

 

「そっか。女の子を待たせるなんて、騎士失格だぜ。うん、これはお詫びがいるよな」

うんうん、と1人で頷きながら言うエース。

ぞわり、と背筋に嫌な感覚が走る。

 

「いや…そんな気にしてないから。お詫びとかいらないから、じゃ、あたしそろそろ帰」

「待ってよ

立ち上がろうとした瞬間に手を引かれ、バランスを崩してベッドに倒れこむ。

 

 

 

「心配しなくても、ちゃんと優しくするから。な!」

 

 

にっこりと笑ったエースに、何を、なんて怖くて聞けなかった。

あぁ、もう勘弁してよね、

 

 

騎士様!

 

 

 

 

 

 

あとがき

完全自己満足ですね!エースは本編というかゲーム内でも十分えろすな人なんで、これくらいやりますよ、多分。

なんというか、その、えっと、皆さんもゲームやって惚れてください←

2008/09/17