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朝起きたら、喉の調子がすこぶる悪かった。

声を出すたびに喉にびりっと衝撃がくる。

熱は無いみたいだけど、大事をとって今日は寝ていよう。

 

 

朝だぞー、と言って起こしにきたエリオットにそのことを伝えると、物凄く心配そうな顔で

「わ、わかった!!何かあったらすぐ言えよ!!すっ飛んできてやるからな!」

と言ってきた。

へたり、と垂れ下がった耳を撫でながら枯れた声で「ありがとう」と言って、あたしはもう1度布団に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼんやりとした空間。

あぁ、これは夢の中か、と思いながら小さく口を開く。

 

「う゛ー…あ゛ぁー…」

がらがらと枯れた声が出る。

くそう、夢の中でも風邪は続行中なのか。

 

 

別に熱があるわけじゃないから、体がだるいわけでもない。

ただ、声が出ないだけ。

 

 

「そうか、熱が無いなら安心したよ」

 

溜息を吐きかけたときに聞こえた声。

 

…ナイトメア、勝手に心読まないでくれる?

 

 

「だが君は声が出ないんだろう?私なら丁度いい話し相手になれるじゃないか」

ふふん、と偉そうぶってふわふわと宙に浮いている。

 

「偉そうぶってとは何だ!実際私は偉いんだ!」

あーはいはい、そうですねー。

「……」

 

 

そうは言っても、やっぱり今のあたしには丁度いい話し相手なのだ。

認めたくはないけど。

 

 

「なんでそう頑なに認めないんだ君は」

だって、なんか…見た目あたしよりも重病そうな人を頼るなんて…ありえない。

「重病じゃない!わっ、私は元気だ!」

 

なら仕事しなさいよ。

今だって本当は仕事の時間なんでしょ。逃げ回って、またグレイ困らせてるんでしょ。

「うぐっ……だ、だが私がいなくなったらが寂しくなるだろう?」

 

 

…………認めたくは、ない。でも。

 

 

 

 

「私はいつもに看病されてばかりだからな。たまには、逆もいいじゃないか」

そう楽しそうな声音で言うナイトメア。

 

ふざけんじゃないわよ。

こっちは声でなくて悶々してるっつーの!喋りたいのに声が出ないって凄い嫌なんだからね!

 

 

っていうか、そこ喜ぶじゃなくて…。

 

 

「もちろん心配してるよ」

あたしが心で言う前にナイトメアはそう言って、あたしの頬に手を添える。

 

 

「いくら心が読めて、会話ができても…やはりの声が聞きたいんだ」

するり、と手を喉へ滑らせる。

低体温なのか、少しだけあたしよりも冷たい手が首筋を伝う。

 

 

「早く、治しておくれ」

 

 

 

 

 

 

声を聞かせて




(君の声が聞きたいんだ。君の、その口から君の声が。)

 

 

 

 

…さて。心配する側の気持ちがわかったところで、病院に行

「かない。行かない!それとこれとは話が別だ!!」

 

 

…この蓑虫やろうめ。

 

 

ほら、今日なら一緒に行くどころか一緒に診察してもらえるかもしれないし。

「嫌だ!嫌だ!君の診察なら私がしてやるから、病院へは行かない!!」

 

 

早く風邪治して、病院へ引っ張って行こうかと思った。

そのときはグレイにも手伝ってもらおう。

 

 

 

その前に、風邪が治ったら…仕事手伝いに行こうかな。

今日のお礼に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

喉風邪引いてたときに思いついたお話。

風邪のときは是非夢で会いたいです。リアルで看病してもらうならグレイがいいです。

2009/02/11