夏休みがやってきました。

今年も宿題に追われるのだと思っていたら、ツナの家に住むリボーンから電話がかかってきました。

、バイトしてみねーか?」

 

いや、でも宿題あるし…と断ろうとしたけれど、給料の良さに驚き、代わりに宿題をやってもらうということで

そのバイトを了承してしまったのが運の尽き。

そのバイトの内容は、なんと。

 

 

 

、まだ廊下掃除なんてやってんの?おっそくねー?」

「ベル…ここのお屋敷の廊下が全部でどれだけあると思ってんのあんたはァァアアア!!!」

 

イタリアのマフィア、ヴァリアー本部にてメイドとして働くというのが仕事内容でした。

 

 

「ほらほら、早くやんねーと日が暮れるんじゃねーのー」

ししっ、と笑いながらモップで廊下を磨きながら走るあたしの横を一緒に走るベル。

 

早く、と言われても。現在この屋敷にメイドは私ひとりしかいないのだ。

コックの方々がいてくれたのが幸いだった。

 

 

何で誰もいないのか、とベルに聞いたところ「からかってたらいなくなっちゃって」という軽すぎる答えと、

スクアーロの「いやお前が全員殺してたんだろうがあああ」という答えが出た。

確かに、私もここへ来た当初は嫌がらせされたよ!お前ら2人にな!!!

ちなみにはじめから仲良くしてくれたのはルッス姉さんだけでした!

 

 

 

「なーなー、そんなのさっさと終わらせてオレとどっか行こうよ」

「血なまぐさい感じが漂うので遠慮させていただきます」

 

つまんねー、と文句を言いながらベルは私の横を走る。

廊下の端までモップをかけて、方向転換をしようとしたところで脇道からスクアーロが出てきた。

 

 

「う゛ぉ゛ぉい!ちゃんと働いてっかぁ!」

「働いてるでしょうがァァ!全力で頑張ってるわァァ!!!」

ギッと睨むようにしてスクアーロを見ると、一瞬ひるんだような気がした。

 

 

そしてちらりと私の横にいるベルに視線を向ける。

「ベル!お前今日任務入ってただろぉが!なんでこんなとこにいやがる!」

「そりゃ、任務よりからかってるほうが楽しいからここにいんだよ」

 

さらっと躊躇いも無く言い放つ。

お前…!お前、私が必死に掃除っていうか、働いてるのに!サボってたのか!!

 

 

 

の邪魔してんじゃねえ!お前も働けぇ!」

「ええー」

言いながらベルは頭の後ろに手を組んでそっぽを向く。

あああ、スクアーロ…!もっと言ってやって!そして私の掃除を早く終わらせて!

 

 

キラキラした目でスクアーロを見ていると、今度は私を見て言う。

「廊下が終わったら、客間も掃除しとけよぉ!」

「ぎょえええええ!!ま、まだ洗濯が…」

「文句あんのかあああ!」

「ないでぇぇぇす!!!」

 

ごほっ、と枯れかけた声が出る。

スクアーロと喋ると、必要以上に声が大きくなるんだよね…。

 

 

 

「待てよ。は廊下掃除終わったらオレと遊ぶんだよ」

「ならお前がやれ」

「やだ」

即答だった。

 

いや…一回やってみるべきだと思うよ。

この屋敷の掃除の辛さは、やってみなきゃわからないと思うよ。

 

 

 

早くしないと、洗濯が…と思っていると、廊下の奥からカツン、カツンという靴音が聞こえてきた。

 

「…なにしてんだ、てめーら」

静かに言って足を止めたのは、ヴァリアーファミリーがボス、XANXUS。

 

「ベル、てめえ任務はどうした」

「げ。あー、まあ、今から行くって」

前髪で表情がイマイチ見えないものの、声は困ったような感じがしている。

 

 

 

これでやっと掃除が終わるかな。

ふう、と息をついたとき。

 

なぜかボスが私の持つモップをガシリとつかんだ。

「へ?え?ちょ、あの」

 

何ですか、と尋ねる前に私の手からモップが離れる。

 

 

「このカス鮫が!!!」

バッシーン!と痛そうな音を立ててモップの柄がスクアーロの肩にクリーンヒットした。

「ぐあっ!!!??てめっ、何すんだぁぁああ!!!」

不意打ちのせいで、ふらりとよろめきながらも倒れはしない。

驚きながら肩をさするスクアーロはボスに向かって叫ぶ。

 

 

「う゛ぉ゛ぉぉい!今は何もしてねえだろうが!」

「黙れドカス!」

言いながらボスは床においてあったバケツをおもむろに掴み、スクアーロに向かってフルスイングする。

って、ええええ!?

 

 

「なっ、ボス…っうおわあああ!!

「ぎゃああああああ!!」

ばっしゃーんと水が床に飛び散る。

 

ちょっ、そこ、今掃除してきたんですけどォォォ!!!

ベルも「あーあ」とか言ってないで止めるとか何とかしてえええ!

 

 

頭からバケツの水をかぶってびしょ濡れになったスクアーロを見て、ふん、と鼻で笑う。

しかも、若干楽しそうに見えたんだけど。

そして廊下を見て開いた口がふさがらない状態の私に再びモップを握らせて、ボスは去っていきました。

 

 

 

「え、なに、なんなの今の」

「ボスのストレス発散じゃね?」

「「ふ…ふざけんなあああああ!!!!!」」

 

思いは違えど、スクアーロとともに私は絶叫した。

ああ、そういえば、こんなことがつい三日前にもあったっけ、なんて思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

終わらない掃除




(「スクアーロのばかああ!」「オレのせいじゃねえだろうがああ!」「なー、まだおわんねーのー?」)

 

 

 

 

 

 

あとがき

ヴァリアーの屋敷でアルバイトシリーズ。全体的にギャグになる予定。

夏休みとか言ってますけど、時間設定が夏休みなだけで、夏休み期間更新小説ではありませんよー。

2009/08/27