ばたばたと万事屋の階段を駆けのぼる。
手にはダンボールを持って。
「ぎんちゃん!!開けてー!!」
ダンボールで両手が塞がってるからチャイム押せないし…呼ぶしかないよね。
一応朝だけど歌舞伎町だもん、大丈夫だよね!
…ってゆーか出てくるの遅っ!ダンボール結構重いんですけど!
「ぎーんちゃーん!!開けてってば!!」
思いっきり叫ぶとガラガラとゆっくり玄関の戸が開いた。
「…朝から元気ですねちゃん」
頭をかきながら寝起き丸出しの顔で出てきた銀ちゃん。しかも寝巻きですよ。
「朝と言ってももう10時だよ銀ちゃん」
「いやいやウチの時計遅らせてあるから。まだ8時だから。」
「何で遅らせてんのよ。っていうかそれ起きてて普通な時間だよ」
まぁあたしが起きたのは9時だけどね!
「あー…そんで、どうしたの?……そのダンボール」
「そう!これこれ!ちょっと銀ちゃん持って」
ぐいっと銀ちゃんにダンボールを渡して万事屋に入る。
靴を脱いで銀ちゃんを見るとダンボールの中身を確認してた。っていうかちょっと目に元気でてない?
「ちょっとちゃん…どうしたの、この大量のさくらんぼ」
「田舎のおじいちゃんが送ってくれて!まだ家にいっぱいあるんだよー。だからおすそ分け!
神楽ちゃんとかたくさん食べるでしょ」
ほんとおじいちゃん、送ってくれるのは嬉しいけどさ、ダンボール5箱って何よ。
「そっかーありがとな、。今は神楽も新八もまだ来てねぇけど…食べていい?」
目をきらきらさせつつ言う銀ちゃん。うん、喜んでもらえるっていいね!
「そのために持ってきたんだもん、食べていいよ!
じゃあちょっと台所借りるね。適当な分洗ってくるから」
「おーう。じゃ俺着替えてくるからー」
ざばざばと水でさくらんぼを洗う。見た感じ銀ちゃんは朝ごはん前っぽかったから
とりあえず少しだけ洗ってお皿に乗せて持って行こう、と思って振り向いた。
「ちゃん」
「うわっ、銀ちゃん!び、びっくりしたじゃん…背後に立たないでよ!」
「待てなかったんですうー。てかもうちょっと可愛い反応してくれねぇ?」
「ごめん、無理」
きゃー、とか言う前にうわっ、て出ちゃったんだもん。
「そ、それよりさくらんぼ!あたしも家で食べたけど甘かったよー!」
「マジでか!」
銀ちゃんの背中をぐいぐい押して居間に連れていく。
「はい、どーぞっ」
ことん、と机にさくらんぼの乗ったお皿を置く。
「あと銀ちゃん、朝ごはんまだでしょ」
っていうか机に置いた瞬間から食べだしてるんですけど、銀ちゃん。
「おー…」
「どうする?何かかるーく食べる?」
「んー…もうすぐ昼だしなぁ…とりあえず、おかわり」
すっと目の前に空の皿が差し出される。
え、っていうか食べるの早くね?少しとはいえ10…くらいは乗せたはず。
「…じ、じゃあ、とりあえずさくらんぼ持ってくるから待っててね」
ざばざばと水でさくらんぼを洗う。そして銀ちゃんのとこへ。
あれ、あたし朝から労働ばっかりじゃない?とかそんなことを思いつつ居間へ。
机にお皿を置く前からひょいひょいと手を出してくる銀ちゃん。
なんか労働の疲れが吹っ飛ぶくらい持ってきた甲斐ある食べっぷりだよね。
…あ、そういえば。
「さくらんぼといえばー…銀ちゃん、茎結べる?」
「は?…あー…口ン中で結べるか、ってことか?」
「そうそう」
昔友達が特技は口の中でさくらんぼの茎結べることです!って言ってたの思い出して。
うん、あれは特技にしてもいいと思うよ。あたしできなかったもん。
「んー…できるぜー…ほらよ」
もごもごと口を動かしてぺろっと舌の上に茎を出す。
「えっ、早っ!?嘘っ!なんで!?」
ちょ、あたしすっごい頑張っても無理だったんだけど!
「はできねーの?」
「そりゃそうだよ。むしろできる方が変だよ」
「変てお前…!できる方がいいんだぞー…色々と」
「ふーん…でもあたしには無理だよー」
にまにま笑ってる銀ちゃんに、へらっと笑って返す。
「教えてやろーか?…実技で」
…うん、ちょっと耳がアレなのかな自分。何か余計なものが聞こえた。
「なぁ、。教えてやるよ」
「いいです。いらないです。結構です」
それよりも視界が、天井と銀ちゃんしか見えないのはいかがなものかと。
「ちょ、と待って銀っ」
がしっと後頭部を押さえつけられキスされる。それと同時に入り込む銀ちゃんの舌と…さくらんぼの茎。
まじでやりやがったこいつ!なんて思っても抵抗できるほど力が入らなくて
銀ちゃんの服を握る手に更に力をこめる。
ぐるぐると口の中で舌と茎が回って、頭も回って、やっと舌が引き抜かれたと思って酸素を吸う。
「ぅ、ふっ…はぁ…はぁ…あ?」
口の中の違和感。べろっと舌を出してみる。
「さ、さくらんぼの、茎!?」
しかも結ばれた状態の茎。
「ほら、できただろ?わかったか?」
……や、やりやがった。っていうか人の口の中で結べるって、どれだけ凄いのよ貴方。
にこにこ笑いながらぺろりと自分の唇を舐める銀ちゃん。
いや、わかったかって…何がおこってたのかさえわからなかったんだけど。
放心状態でぼーっとしてるあたしを見て銀ちゃんは言う。
「なんだよ、わかんなかったのか?…んじゃ、ができるようになるまで付き合ってやるよ」
「いいですいいですほんともう結構です」
さくらんぼと茎とキスと君
にっこり笑う銀ちゃんが怖かった朝でした。(ちなみに銀ちゃんからは何とか逃げました。)
あとがきっす☆
さくらんぼの季節もうすぐ終わるよ!っていう時期に書き終るってどうなのよ自分。
そんな訳で偽者銀ちゃんですみませんでした!!この破廉恥銀時め!(何
もう、あの、ちゅーの辺りが書いてて恥ずかしくてしょうがなかったです。
読むのは平気でも実際書くとなると、もう、駄目です。微妙でごめんなさい…!
…実はこっそりこのさくらんぼ話はシリーズにしたかったり。…どうしようかな(ぁ
2007/07/27