「ふぁあー……」
思いっきりあくびしながら真選組の廊下を歩く。
そう、ここは真選組屯所。私は女中のバイト。そして今から休憩。
にしても女中さん少ないったらないわよ。隊士の半分のいるかいないか。
くっそー…毎日疲れるなぁ…。でも楽しいけどね。
そんなことを考えながら廊下を歩いて自分の部屋を目指す。
「ねむー…」
目をこすりながら歩く。
夜中まで本読んでるんじゃなかった…!
そして廊下の角を曲がった。
「ん?何してんだ」
なんか煙草吸ってまったりしてるマヨラーがいました。
…おっと間違えた。我らが真選組副長土方さんがいました。
「サボリですか土方さん」
「違げぇよ。仕事にキリがついたから休憩だ。サボリじゃねぇ」
総悟みたいにふらふらしてねぇーとか、
もうちょっとで仕事は片付くんだーとか、
延々とサボリ撤回発言をしてくる土方さん。
…さっきのサボリ発言がまずかったのかな。っていうか眠くてたまらん。
すとん、と土方さんの横に座る。
「お前こそサボってんじゃねーぞ」
「違いますー。ちゃんと、今は…休憩時間…」
うわー、やばい。ここ日当たりよくて昼寝には最高じゃない。
あぁ、意識が、遠のいていく。
こてん、と肩に違和感。
「…は?」
「すー…すー…」
寝 て や が る 。
っていうか早いなオイ!さっき座ってから1分もたってねぇだろ!
起こすべきか、起こさないべきか。
…さっき仕事休憩中って言ってたし…いい…わけねぇや。
俺仕事しなきゃ駄目じゃね?
このままじゃ俺動けねぇじゃん。
「…お、い…」
チラッと横を見るとすーすーと寝息を立てて寝る。
…爆睡、か。
「…ん…」
「っ!?」
真横から聞こえた寝息にびくっとすると、その振動での頭が
ずるっと肩から滑り落ちてぼすっ、と音を立てて膝に乗る。
つまり、膝枕状態。
…や、駄目だろ。こいつここで働いたらだめだろ。男だらけなんだぞ。
こんなとこで寝るような…っつーか男の前で寝るようじゃ危ねぇだろ。
ってなんで俺そこまで心配してんだ?あれ?
わけわかんなくなってきた。…この眠気をさそう日差しの所為だな。
「……まぁ…起こさなくていいか」
そこまで仕事も詰まってねぇし。
そっと髪をなでてやると無意識だろう、ふにゃりとは笑う。
座ったまま、俺もすぅっと目を閉じていった。
ぱちりと目を覚まして見えたのは土方さん。……そして沖田さん。
……おきたさん?
「えっ、あ、えぇっ!?」
「あぁ…起こしちまったか?」
がばっ、と起き上がろうとしたけど土方さんに手で押さえられ阻止される。
「あ、いえ、っていうか何ですかこの状態…!」
「何って、お前肩にもたれかかってたけど途中でずり落ちて膝に…」
そうじゃない。そうじゃないんだ土方さん。
「いや、あの…」
「別に何もしてねぇから安心しろよ」
それも違う。私が聞きたいのは、
「お、おき「じゃあ今から何かしようとしてたって事ですかィ?」……」
遅かった。しかもさえぎられた。
私と土方さんは同時にピシッと固まった。
先に動いたのは土方さん。
「総悟…テメェ気配消してなにしてんだ!!」
「土方さんがさんに手ェ出してるかと思って見張ってたんでさァ」
違うよ。アレ見張る目じゃなかったよ。何か狩ろうとしてた目だったよ。
そんなことを思いながらこそこそ起き上がって避難しようと立ち上がった。
「さん」
「っ、は、はいいっ!」
いきなり呼ばれてびっくりしたけど反射的に返事をする。
「そろそろ休憩終わりだろィ?仕事してこねーと怒られやすぜ」
にっこり…とは言いがたいけど笑って言われる。
…多分、『今ここにいると死にやすぜィ』っていうことだろう。沖田さんの後ろにバズーカが見える。
「じゃあそろそろ仕事戻りますね。…あ、土方さん」
「あ?」
「肩と膝…ありがとうございました!」
ぺこっ、とお辞儀をしてから廊下を走って仕事に戻る。
たしか午後は買い物行かなきゃいけなかったはず。…マヨネーズ買いに行かなきゃ。
短時間しか寝れてないはずなのに、妙に頭がすっきりしていた。
安眠あふたぬーん!
「……」
呆然としてた。あいつあんな可愛かったっけ?なんて考えてしまった。
が、そんな思考はほんの1秒でかき消される。
「さーてと…土方さんが女中襲ってたって言いふらしてから昼寝でもしようかねィ」
「襲ってねぇ!!っつーかお前堂々とサボリ発言してんじゃねぇ!っつーか見張りって何!?」
「あぁ、そうだった。土方さんが寝たらこっそり殺ろうと思ってたんでさァ。
…ってことで死ねィ土方!!」
ガチャリ、とバズーカを持ち上げる沖田。
「暗殺者かテメェは!!お前が死ね総悟ォォ!!」
そしていつもの追いかけっこのスタート。
あとがき
誰オチ?みたいな(ぁ
一応…土方さん…だったんですけど、最後で沖田さんがでしゃばりました。
2007/07/29