今日も万事屋は明るいです。もちろん蛍光灯のお陰です。
外は真っ暗です。だって、大雨ですから。
今、江戸には台風が接近しているらしいです。(朝、結野アナがにこやかに言ってた。)
大雨・暴風・糖分警報
神楽ちゃんと新八くんは雨が降る前に、って言って先に帰ったんだけどね。
私は万事屋から家も近いし大丈夫だよーって余裕かましてたら
急にどしゃ降りになりやがった。 (おっと言葉が汚いぞ自分!)
あぁもう自分のバカ。2人が帰るときに一緒に帰ればよかった!
「あぁああーー…」
「ちゃん、その窓に張り付いて変な声出すのやめてね」
「だってぇー…はぁ…止まないかなぁー…」
びたっと窓に手をついて真っ暗な外を眺める。
外はザーザーと、いやザバババババッと物凄い音を立てて雨が降っている。
あぁぁああー…早く帰ればよかった。
「しょーがねぇから、今日はウチに泊まってけ」
「えぇー」
「…雨の中放り出してやろうか」
「わぁっ、銀ちゃんやっさしいね!ありがとう!是非泊めて!」
「…………」
なんか銀ちゃんは納得いかない顔してるけど気にしない。
だって濡れたくない。ちょっと降りすぎだよね、ってくらい雨強いんだもの。
歩いてたら雨刺さるんじゃない?みたいな。それくらい強い。
何だかんだで夕飯も食べ終わって、お風呂も入ってあとは寝るだけ状態でくつろいでいた。
銀ちゃんは台所で「あれ、いちご牛乳買い置きしてなかったっけ?今日の分しかねーよ」とか言ってる。
そのとき、一瞬部屋が明るくなり、続いてピシャーーン!と雷の音がした。
「あ、かみなり…まだ遠いなー」
「ねぇ。お前本当に女の子?」
片手にいちご牛乳、そして寝巻きの銀ちゃんが私の横に座って言った。
「失礼だなぁ。女の子だよ」
「いやだってさ、普通に『遠いなー』って分析してるし」
銀ちゃんはごくごくといちご牛乳を飲む。
「普通さ、『キャー!銀ちゃん怖ーい!』とか言ってしがみついてきたりするのが定番だろ?」
うわぁ、この人頭のなかもいちご牛乳色だよ。
「残念ながら私雷平気なんだーごめんねー」
ぼーっと外を見ながら言う。
またピカッと空が光って、今度はすぐにピシャーーーン!!!とさっきより強い音がした。
「おぉ…今の近かったよ銀ちゃん!」
「あーそーですかー」
瞬間、ブツンと何かが切れるような音がして…明かりが消えた。
「…え、停電?」
やべぇよ真っ暗だよ。どうしたの電力会社!
「ちょっと、銀ちゃん…?あ、れ?…銀ちゃんっ!?」
横にいたはずなのに、手探りしてもいない。
立ち上がって周りを見回してみるけど、まだ目が慣れてないせいで何も見えない。
おおお落ち着け私。とりあえず、目が慣れるのを待とう。うん。
そんな電気消えて銀ちゃんまで消えるはずないし。
…でも、ちょっと、こう真っ暗じゃぁ…。
「ぎ、んちゃん…」
「…不安になった?」
ぎゅっ、といきなり後ろから抱きしめられる。
「うわわわわわっ!!」
色んな意味でものすごく吃驚した。
「何だ、泣いてるかと思ったのに」
「なっ、泣かないよ!」
…ちょっとギリギリだったかもしれないけど。
「それより、銀ちゃんどこいってたの?」
「台所。コップ洗ってたんだよ。
ったく…いきなり電気消えるからよォ。ここまで来るの大変だったんだぞ」
なんとかして足の小指の安全は守られたよ、とか何とか言ってるけど
私はそれどころじゃない。
「…銀ちゃん、手。どこさわってんの」
「手?あぁ、の胸ぐほっ!!」
思いっきり肘を腹に打ち込んでやった。
あぁ、なんだろう、さっきまでのちょっといい感じな雰囲気はすっ飛んだ気がする。
「げほ……おま、何を…!」
「それはこっちの台詞だァァァ!!」
大分目が慣れてきた。うずくまってる銀ちゃんがうっすら見える。
「…にしても、なにもすること無くなったね」
「あー…そうだなぁ」
よろよろしてるけど復活した銀ちゃんは今度は私の肩に腕を回してくる。
「やることねぇし、もう寝るか。一緒に」
「そーだね……ちょっとまって、もう1回言って」
「寝ようぜ、一緒に」
あぁ、ちょっと今は目が見えないほうがよかった気がする。
なんか妙に生き生きしてる銀ちゃんが見える。
「い、いい。いらない」
「…じゃあ、2択だ。何もしねーから大人しく俺と寝るか、1人で寝てるうちに俺に襲われるか」
「!?」
究極の2択じゃないか。というか…もう答え1つしかないじゃないか。
「……一緒に、寝ます」
…負けた。
「よーし。じゃあさっさと寝るぞーなんかもう眠ィ…」
あくびしながらぐいぐい私の背を押して布団まで。
とりあえず、きっと、大丈夫。うん、大丈夫だ。
「あ、でも朝寝ぼけてちゅーしちゃったらごめんねーちゃん」
…不安だ。
あとがきというか言い訳
ごめんなんか毎回悲惨な目にあってるよね銀さん。
いや、台風近いって天気予報で言ってたので…ノリで書いてました。
朝は確実にちゅーされるんじゃないかと。そういう時に限って銀さんは早起きです(ぇ
なんか、いつもぐでぐで、です、ね!すすすすみませ…!!
2007/08/02