『沖田さん、私、土方さんと結婚します!』
「…はい?」
いやいや、冒頭からおかしいだろ。
こいつ…頭おかしくなったんじゃないんですかィ。
『そういうワケだ。じゃあな総悟』
土方のヤローは元から頭おかしいけど今日は一段とおかしい。
「何言ってんでさァ…」
『だから、結婚するんだよ、俺ら。……いくぞ、』
『はいっ…十四郎さん』
「…っ!ま、まてっ…」
何なんだ、冗談、だろ…!?
「い、行くんじゃねェーーーー!!!!!」
思い切り叫んで、がばっと起き上がる。汗で前髪が額に張り付いて気持ち悪ィ。
…って…もしかして、今のは夢かィ。
チッ、俺ァ疲れてるんだろーか…。
もう朝か。…もうちょっと寝てたかったけど、しかたねェ…。
そう思ってもだるくて体は動かず、ぼーっとしていた。
一方、部屋の外では。
「……な、なんなの!?」
総悟の部屋の戸に手をかけたままビタリと固まっているのは
真選組の女中として働いている。
…っていうか、なに。朝ごはんですよーって言いに来ただけなのに。
何、行くなって。むしろ来たんですけど。しかもそんな大声で名前呼ぶなんて…恥ずかしい!
うーん、真選組で私以外にって名前の人……いや、いないね。
えっと…どうしたらいいんだろう。凄く入りにくい。というか入りたくない。
「…いやいや、頑張れ私…仕事だ。仕事なんだから…」
すっと息を吸って深呼吸してから戸を開ける。
「おっおはようございます、沖田さん!朝ごはんですよー!」
「あぁ…ですかィ…」
うわ、なにこのひんやりした空気。というか暗い。
「…あの、なにか、あったんですか?」
自分の名前思いっきり叫んでたんだし、きっと私にも関係あるんだろう。
「いや…ちょっと、最悪な夢みやして…」
「夢?」
夢オチか。…私は沖田さんの夢の中で何してたんだろう。
うわぁ、聞きたい。でも…嫌な夢だったら聞かない方がいいよね…。
…嫌な夢…私がでてた…って、あれ、私の所為で沖田さんヘコんでる!?
「えっ、あの、ごごごごめんなさい!」
「何いきなりあやまってるんですかィ」
あぁ、バカじゃねぇのこいつ。みたいな目で見られたよ。
「…なぁ、」
「何ですか」
あぁ、朝ごはん、冷めてないといいけど。
「結婚しやせんかィ」
「はぁ…………は!?」
ちょ、ちょっと待って!何、今さっきの話の流れからしておかしいよね!?
え、なに、もう私この人の頭の中についていけない!
「なんでいきなり!?結婚なんてしませんよ!!」
「土方のヤローとなら結婚するんですかィ」
…もう、さっぱりわからん。
「しませんって…あの、なにがあったんですか。何の夢見たんですか」
説明を聞いて吃驚した。
「…そ、そんなの、夢じゃないですか!そもそも何で私が土方さんと!?」
あの人と結婚したら確実に食費が大変だ。…マヨネーズで。
「じゃあ」
がしっと両手を掴まれる。
「名前で呼んでくだせぇ」
「……いや、でも、私女中なんで…そういうのは…」
「呼べ」
拒否権無しですか。っていうか怖っ!手汗かいてきたんだけどもう!
「そ…総悟さん」
目あわせるのも怖い。恥ずかしさよりも恐怖の方が強い。
「呼び捨てでいいですぜィ」
「いや、ですから…」
ぎろりと睨まれる。
「そそそ総悟ォォー!!朝ごはん冷めますよー!早く食堂いきましょーう!!」
ま、マジで怖かったよ。下からなのに!!体制的に下から睨まれてるのに!
上目遣いが怖いって何この人!!
「んじゃ食堂行きますかねィ」
そう言って私の手を放してすっと立ち上がる。さっきとは逆ににこっと笑って。
あぁ、頭が回らない。やっと恐怖から解放されたのに。
「、俺ァかまいやせんが今から着替えやすぜ。…それとも見たいのかィ?」
「!? さ、先に食堂行ってまーす!!!」
バタバタともつれる足をなんとか動かして沖田さん…じゃなくて総悟の部屋から飛び出す。
戸がバッシーン!なんて凄い音立ててたけどもう気にしてる場合じゃない。
「…もう少し、でさァ」
を落とすまで。たとえそれが恋じゃなくても。
いつかは変えてやらァ。覚悟しとけィ。…ついでに土方。
つり橋効果
ありえない!こんなにドキドキしてるのは、彼の所為じゃない!……と思う。
あとがきどきどき
つり橋効果が得意そうですよね(どんな先入観?
なんというかサドっぽさが薄い気が、する…!げふん。
土方さんはこの日一日中沖田さんからの奇襲に合います(おい
それから名前変換少なくてすみません;
2007/08/07