ここは真選組の大浴場。といっても今は誰も入ってない。というか入れない。
だって、今から掃除するんだから。
入口に『清掃中』という看板を立ててお風呂場へ。
「あぁ…いつ見ても広い…」
さすが真選組。入るにはとっても嬉しい広いお風呂場。でも掃除する女中としてはものすごく腹立たしい広さだ。
もちろん1人で掃除するわけじゃない。一緒に掃除する友達は今、石鹸が切れてるからーって言って買出しに
行ってる。だから、帰ってくるまでは1人で掃除。
「…あー…1人って暇だ…」
ごしごしと床をモップで擦る。ごしごし。ちくしょー髪の毛散らばしてんじゃねぇよー。
丁度1人だし…と思って歌を歌いつつ掃除する。あ、ちょっと楽しい。
「グッドモーニー♪それはグローリー♪掴みに行くのストーリー♪まだま「あれ、何してんでィ」
「ぎゃあああああ!!!!!」
お風呂に響き渡るあたしの声。というか叫び。ふ、不意打ちだぜコノヤロー…!!
「うるせェな。風呂場で叫ぶんじゃねぇや」
「ごごごごめんなさい…っていうか今掃除中なんですから!入ってきちゃ駄目ですって!!」
顔を歪めて耳を押さえる総悟。(ちなみにこの前名字で呼んだら睨まれたから今は名前で呼んでる。)
「ちゃんと看板立てましたよ。清掃中、って」
「知らねーなァ」
お前は目の前しか見てないのか。…なんていえない。恐ろしいんだ、この人は。
「にしても、さっきノリノリでしたねィ」
…今更そこを突いてくるのかアンタは!!
「…ほっといてください。っていうか忘れてください。
掃除中なんですから、そこにいると濡れますよ!」
ぐるっ、と総悟に背を向けて掃除を再開する。あーもう、恥ずかしくてたまんない!!
ガラガラッ、と扉が開く音。あぁ、やっと帰った…。
と思ってたらぴたぴた、と足音がする。
「って何戻ってきてるんですか!?」
「別にいいだろィ。邪魔は…するかもしれやせんが」
邪魔するのかよ!…って、なに。何で上着脱いでズボン捲くってるのあんた…!!
あぁ、綺麗な足してんなァ…って違う!!それではあたしが変態みたいじゃないか!違う!断じて違う!
うおおお…なんて心の葛藤してるうちに気付けば目の前に総悟がいない。あれ。
「ちょっと、どこ行った…ぎゃっ!」
不意に足に水が飛んでくる。
「色気のねぇ叫び声ですねィ」
「ちょ、何してんのお前ェェェ!!!」
総悟はシャワーをつかんで水を出してあたしの足元にかけてくる。
「ちょっ、ほんとに邪魔してくるわけ!?」
ガッと近くにあった桶を掴んでガードする。
「俺が手伝うとでも思ったんですかィ」
こ の や ろ う !
ニヤッと笑っていいやがって…!このドSが!
「ふ…ふふ、やられぱなしは性に合わないのよ!」
負けじとガッとシャワーを掴み、総悟の足元に水をかける。綺麗な足しやがってぇぇ!!
「つめたっ!!テメーやりやがったな!」
「嫌ならさっさと出ていけぇぇ!!」
お互い右手にシャワー、左手に桶を持って攻撃しあう。何なんだもう!
「が大人しく濡れてりゃいいんですぜ」
「何でだ!!っていうか凄い水の無駄遣いだよ!税金ドロボーだよ!」
「水道代なら土方の財布から持っていけばいいでさァ」
「総悟…テメー…何してやがる」
「「………あ」」
恐ろしいほど低い土方さんの声が風呂場に響いた。あたしも総悟もピタッと動きが止まる。
「何でィ、もう見つかっちまったか」
「見つかったじゃねェェェ!!!仕事サボってんじゃねーよ!!ついでに俺の財布勝手に持っていくな!」
何気に総悟のシャワー攻撃を避けて、総悟の襟首をがしりと掴んでずんずん風呂場を出て行く土方さん。
そして風呂場を出るとき、引きずられてる総悟が言った。
「!明日はデートしやしょうね」
…返事をする間も、なかった。っていうか何であたしが明日仕事無いって知ってるの。
ぼーっとして、シャワーの水をだーだーと流したままあたしは立ち尽くしてた。
はっとしてシャワーを止めて風呂場の出口で叫ぶ。
「…楽しみにしてるよ!総悟!」
お風呂場清掃記
(あぁもう!さっき掃除しといたところまでやり直しじゃない!楽しかったけどね!)
あとがき
お風呂でドッキリみたいな感じなのに掃除話だとぜんっぜんトキメキ無いですね!(ぁ
とりあえず沖田さんの生足を想像してときめいておいてくださいませ…!
きっと奴は足綺麗だよ、と勝手に思ってます。
2007/08/11