「〜〜♪」

お風呂の脱衣場で服を脱ぐ。

やっぱり1日の疲れをとるにはお風呂だよね!

ふんふん鼻歌を歌いながらお風呂に入る。体と髪を洗ってからもう一度湯船に浸かる。

あぁー疲れがとれるなー。なんて思いながら、ふと窓の外を見る。

 

 

 

「……………」

「……あ」

 

 

人がいた。っていうか目が合った。

 

 

「何覗いてんだテメェェェ!」

 

 

傍にあったシャワーをつかみ思いっきり水を出す。

 

「え、ちょっとまっギャアアアア!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覗き?」

「そうそう。最近ここらへんで多いらしくてな。なんとかしてくれ、って依頼でよォ」

頭にタオルをのせて言う銀ちゃん。

私はものすごい勢いで着替えた。 (今までで最速な気がするよ…!)

さすがに水浸しになったまま放置するのも可哀想だったから家に上げたんだけど、

何やらちゃんとした理由があったらしい。

 

 

「…でも銀ちゃんおもいっきり覗いてたよね。通報していい?

「ごめんなさい。やめてください。 って俺はが心配で来たのに!」

「覗いていい理由にはならないからね」

 

 

 

 

「まぁ、いきなり水かけたのは謝るから…!とりあえず、銀ちゃんもお風呂入ってきなよ。風邪引いちゃうし」

銀ちゃんを立たせて風呂場に連れて行く。

 

 

 

 

 

 

さて、私は前に銀ちゃんが来た時に置いていった寝間着セットを引っ張り出して おかなきゃ。

・・・にしてもまさか銀ちゃんの寝間着が今、役に立つなんて。

 

 

「なんでよ!箪笥のスペースがへるじゃん!」

「俺の寝間着くらい入るだろ!そ れに何があるかわかんねーだろうが!」

「何があんのよ何が!」

「何かあるかもしれねーんだよ!」

「だから何ーーー!!」

 

 

なんてやり取りをちょっと前にしてたんだよね。

あの頃から銀ちゃんはこうなるのを予想してた…なんてことはないだろう。

絶対何も無いと思ってたから奥に仕舞っちゃったじゃんか! ごそごそと箪笥を漁る。

あーもう、どこにしまったっけ…。

 

「…あ、あった!」

ばさっと銀ちゃんの寝巻きを引っ張り出す。

 

 

 

そしてバンッ、と風呂場の扉を開けて、寝巻きセットを放り込む。

「…え、なに!?」

「服!そこに置いといたからー!」

「いや思いっきり放り投げてたよね!?」

 

バタンッと風呂の扉を閉める。

今入ったら見ちゃいけないものを見そうじゃないか!

 

 

 

 

ばたばた走って部屋に戻る。

さて、銀ちゃんがお風呂から出るのを待とうかな。

 

 

がさっ。

 

 

…今何か音がした。

ふと外を見るとカーテンが揺れていた。あれ、窓開けてたっけ…。

 

「覗き?」

「そうそう。最近ここらへんで多いらしくてな。なんとかしてくれ、って依頼でよォ」

 

 

…ない。そんな、家には別に見て楽しいものないから。

 

それでも気になるので、そっと窓に近づいて勢いよくカーテンをあける。

 

「……ッ!」

 

「……え……」

 

人がいた。…あれ、本日2回目だよコレ。

…って違う!そんな、まさか。

 

ぞくり、と体が冷えた気がした。

 

「い、やっ、きゃああぁぁあああーーーーー!!!!!」

 

 

かすれた声で叫ぶ。どうしようどうしよう、ドラマとかじゃ見られたからには…って殺されるよね!?

え、私死んじゃう!?ちょっと待ってよそんなの!うわぁああ、どうしよう、怖い、怖い怖い!

 

べたりと座り込んでぎゅうっと目を瞑る。逃げろ逃げろって頭は言ってるのに!ど、うしよ、

 

 

ッ!!そのまま動くな!!」

 

 

バンッという戸の開く音、そして普段とは違う、銀ちゃんの真剣な声。

それと同時にがさっと草を掻き分けて逃げようとするさっきの人。

 

「くっそあの野郎…!、すぐ、すぐ戻る!だから…そこで待ってろよ!」

ガッと窓枠に手をかけて窓から飛び出していく。

 

…一瞬見えた銀ちゃんの真剣な顔が頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分…いや3分もしない間に銀ちゃんは帰ってきた。…窓から。

 

 

「大丈夫か……」

ぎゅうっと私を抱きしめて言う銀ちゃん。

「…うん、だい、じょうぶ…びっくり、しただけ…だから…」

いつもの余裕はどうしたの自分!って思うくらいするっと言葉が出てこない。

 

 

 

「…ちゃんと、あのくそ野郎殴り飛ばしてきたから。あとは警察がなんとかするはずだから…」

そう言いながら抱きしめる銀ちゃんの腕の強さは増す。

「怖かった、よな。…もう大丈夫だから。俺が傍にいてやるから」

「…うん、ありがと」

 

 

 

 

大分気持ちも落ち着いてきたけど、銀ちゃんの腕からは未だに解放されていない。

「…ね、もう大丈夫だから」

 

「なぁ、俺考えたんだけど」

 

頭の上から降ってきた声は、いつもの銀ちゃんの声だった。

さ、万事屋に住まねぇ?」

 

「……は?」

思わず顔を上げる。

 

「いや…またこういうことあったら嫌だろ?っつーか俺が嫌だ」

眉を歪めて銀ちゃんは言う。

「だから、一緒に住んじまおうぜ。お前なら新八たちも歓迎だろうし。

 

…いつでも、守ってやれる。」

 

「銀、ちゃん…」

何やら今日の銀ちゃんはかっこいい…気がする。

 

「その方が色々と都合がいいんだよな。うん、お風呂でドッキリ的なことも容易く…」

 

 

前言撤回。

かっこよくないよ。下心部分が私の頭上でだらだら零れてるよ。

 

 

「断固拒否だバカ!つーかやっぱり覗こうとしてんじゃない!!」

「え、なに、…もしかして今俺口に出してた?」

「全部だだもれだ!この天パ野郎ーー!!」

「天パ関係なくね!?って暴れんなーー!!」

 

 

 

 

 

私と銀ちゃんの喧嘩腰の声と一緒に、遠くでパトカーのサイレンが鳴っていた。

 

 

 

 

 

ついでに彼も連行してください

 

(よく考えると私すごい被害者だよね。…お妙ちゃん家みたいに武装してみようかな。)

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

かっこいい銀さんが書きたかったのにやっぱ駄目でした。

そして長い長い。そして毎度恒例の微妙なオチ。

あぁもう!駄作ばっかりで申し訳ないです…!

 

2007/09/08