雪は降っていないけれど、外は真っ暗で空気はひんやりとしている。
そんな中、私はコタツに入ってぬくぬくと温まっていた。
…しかし、それは突如現れた友人によって邪魔される。
「、もうちょっと足ひっこめなせェ」
「…なんで当然のように人の家に上がりこんで、しかもコタツに入ってるの?」
素晴らしいほどのジャイアニズムを発揮してコタツにうずまっているのは
近所の真選組に勤める沖田総悟。
「ちょっと、足邪魔なんだけど!」
「うるせーやィ」
なんて言いながらもすすっ、と足を曲げてくれる。
…珍しく、素直なのが余計に怖い。
「俺は普段仕事頑張ってて疲れてるんでさァ」
「嘘つけ!この間土方さんに会ったとき、いっつもサボってるって聞いたよ」
「チッ、あのマヨラ…!」
総悟はさっきまで曲げていたらしい足を思い切りのばす。
狭いコタツの中、その(無駄に長くてちょっとむかつく)足に私の足が蹴飛ばされる。
そのためにさっき曲げたのかお前!
「いったい!!何すんのよ!」
「あーすいやせんねェ。俺、足長くて」
む、むかつく…!!鼻で笑いやがったこいつ…!
「っていうか仕事はどうしたのよ仕事は」
「今日は……休みにきまってらァ」
「嘘だ。絶対嘘だ。今間があったもん」
ぷい、とそっぽをむく総悟。
それと同時に蹴られる私の足。
「だから痛いって言ってんでしょ!」
「蹴られたくないなら外に出なせェ」
「嫌よ寒いじゃない」
ぎゅう、とコタツの毛布部分を握り締める。
「そんなに寒いなら俺が暖めてやりやしょうかィ?」
「…は?」
何を言ってるんだ。
総悟も寒いから、コタツにはいってるんでしょ。
寒くないならお前が出ろや!…とは恐ろしくて言えないけど。
なんて思っていると、すっと総悟は立ち上がる。
え、マジで出て行くの?
「…ちょっと、せ、狭いんだけど」
というか、近い。
ただでさえ狭いコタツなのに。四方向から入れるのに。
なんで同じところに入ってくるんだこいつは…!!
「暖めてやるっつってんだろ」
「いい。いらない!私にはコタツがあるからいいっ、うわわっ!」
両方の手首をつかまれて押し倒される。
総悟の(むかつくほどにサラサラの綺麗な)髪が、私の頬にかすってこそばゆい。
「ちょ、ちょっと、何する気…!?」
「何してほしいんですかィ」
見下すような笑い方に、ぞくりとする。
掴まれていた両手をぐい、と頭上に持っていかれ片手で1つにまとめられる。
そしてあいた右手は私の頬をなでる。
「ちょっと、離してよ!いった…!」
まとめられた手首にきりり、と痛みが走る。
総悟はくくっ、と喉で笑いながら私の耳元で呟く。
「あぁ、痛かったですかィ?でも、俺ァそういうの苦しんでる顔好きなんでねィ…」
かぁっ、と顔に熱が集まったような気がした。
きっと今私の顔はすごく赤いんだろう。
「…あったまりやしたかィ?」
さっきと打って変わって、にこりと笑う総悟。
「え、あ…」
そういえば体中がぽかぽかする。むしろ暑いくらいだ。
「何でィ…続きでも期待してたんですかィ?」
「…ッ!!!」
顔が熱くなる。
「そっ、そんなわけないでしょうがこのサド野郎ォォォーーー!!!」
叫びながら近くにあったクッションを投げつける。
総悟はそれをひょいひょいとかわし、そろそろ屯所に戻りまさァ、と言って帰っていった。
のこされた私は、少しだけ赤くなった手首をさすりながら、座り込んでいた。
コタツか君か
(…くそ、ちょっと、危なかったですねィ…。ふぅ…夜風がちょうどいーや。)
あとがき
総悟夢ですー!いつもより、ほんのりセクハラ度がアップしてるかと。
Sって書くの難しいんですよね…。しかも彼の場合はドがつくほどですし。
ちなみに彼がヒロインさん宅に乗り込んだのは、市中見回りの時間をつぶすためだとか。
2007/12/31