「いーやーだーーー!!!」

「ふふ、そんなこと言わないの。神楽ちゃん、ちょっと手押さえててね」

「らじゃーアル、姉御!」

 

 

 

ふすまの向こうから聞こえる叫びというか、断末魔。

あの声を発しているのは、ここ万事屋に居候中の俺の彼女、

(そういえば前に彼女、って言ったら「一応ね」って言われた。…ツンデレなだけだよ、な?)

 

 

「…なにやってんの、あいつら」

「さぁ…?姉上に聞いてみても教えてくれなくて」

 

「男共は居間にこもってなさい」という台詞と共に、居間に閉じ込められた俺と新八。

つーかそこ、俺の部屋なんですけど…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると騒ぎ声も暴れる音も止んで、スパンッと音を立ててふすまが開いた。

「銀ちゃぁぁん!やっべーヨこれマジ凄いヨ!」

「ちゃんと主語をつけろ神楽ー。何が何だかさっぱりわかんねーぞー」

ふすまが開くと同時に叫びながらソファにダイブした神楽にそう言いながら、さっきまで閉ざされていた部屋を見る。

 

 

「で、何してたんだよお前ら」

「ふふ、ちゃんに私のお古の服を着てもらったのよ」

「へぇ。んで、肝心のは?」

ちらり、とさっきまで閉ざされていた部屋を見る。

 

 

「それが…恥ずかしがって出てこないのよね」

すっごくすっごく可愛いのに、といいながらお妙はため息をつく。

 

俺はソファから立ち上がって、言う。

「おーい、ー。出て来いって」

「嫌。ぜっったい、嫌」

 

ほんのり声にドスがきいてるんですけど。

 

「自分で出てこないなら引っ張り出すぞー」

そう言いながら足音を立てないようにして部屋へ近づく。

「やだ、やだ!可愛くない、可愛くないから、来るな!!」

 

 

そんな叫びを無視して、俺は部屋から少しだけ見える腕にそっと手を伸ばして、思いっきり引っ張った。

 

 

「えっ、うぎゃああ!!!

「そんな女の子らしくねー叫び声………ッ!!!

 

息が止まるかと思った。

 

…普段のは、オシャレなんて興味ないってくらいに適当な服装をしてるわけで。

今のは、普段とは真逆ってくらい可愛い。

「なんかもう普段のアレはなんだったんだってくらい可愛いんですけど。ちょ、どうしよう、頑張れ俺の理性」

「銀さん途中から思考だだもれですよ」

おっと俺としたことが。

 

 

 

「それにしても…姉上、いつ買ったんですか。フリル付の膝丈着物なんて」

「新ちゃん、買い物っていうのはね、うっかり血迷ってその時のノリで買っちゃうときがあるのよ」

「迷いすぎです姉上!!」

「あ、私そろそろお仕事行かなきゃ。その服はちゃんにあげるわ。すごく似合ってるもの」

ぎゃーぎゃー叫んでる新八を無視して、お妙は仕事へと向かった。

 

 

「っていうかいつまで見てるの銀ちゃん!見るな!

腕を掴んだままだから、逃げるに逃げられないは顔を真赤にして俺を睨む。

「…それ逆効果だからねちゃん。余計に離したくなくなるからね」

 

 

言いながら俺はの腕を引っ張って、ぎゅっと抱きしめる。

ぽす、という音と共に腕におさまったは小さな声で呟く。

 

 

「…可愛く、ないもん。あたしには似合わないよ」

「んなことねーって。すっげー可愛い」

軽くの額に口付ける。

「なっ、ぎっ…銀ちゃん!?」

さっきよりも更に真赤になったを見て俺は笑う。

 

 

「な、またその服着てくれよ」

「………気が…向いたらね」

消え入りそうな声で呟いたのは、肯定の言葉。

心の中で盛大にガッツポーズをして、俺はもう1度強くを抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

「銀ちゃん、私たちいるの忘れてるアル」

さんはわかってるみたいだけど」

「しょうがない奴らアル、ここは私らが気を利かせて出掛けるヨ新八」

「そうしようか。とりあえず夕飯の買い出しにでも行こうか」

 

 

 

 

 

衝撃!ビフォーアフター!




(でも、その格好で外は出るなよ。マヨラーとかサド王子とかに攫われちまいそーだからな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

日記10000ヒットお礼ー!あ、あんなヘタレ日記を読んでいただきありがとうございます…!

銀さんがデレデレになっていくだけの小説ですいません。語り銀さんは難しかったです…文才プリーズ!(ぁ

2008/09/08