「な…なんなの、このタイミングはーーー!!!」
「人ん家で叫ぶんじゃねェ」
今日は休日。学校もお休み。
だから久しぶりにデートしよう!ということで私は総悟の家に来ていた。
朝から空は綺麗な青色をしていたのに。
総悟の家に着いたとたん、大粒の雨が降り出した。
「これが叫ばずにいられますか!折角のデート…楽しみにしてたのになぁ」
総悟の部屋の窓ガラスにぴったり張り付いて外を眺める。
突然の雨でお隣さんの洗濯物が濡れていくのが見えた。
「が来たとたん雨降ってきたんですぜィ。おめーどんな強烈な雨女でさァ」
「失礼ね!!私の所為じゃなくて、総悟の所為じゃないのー?」
日頃の行いが悪いから!って言ったら傍にあった雑誌で頭をスパーンと叩かれた。
「とにかく、どーすんでさァ。これじゃ出掛けるのは無理ですぜィ」
「うーん…じゃあお家デートってことで」
「最近ずっとじゃねーか」
言うとおり、最近どこかへ一緒に出掛けることが少なかった。
だから久しぶりに今日こそどこか行こうって思ってたのに。
「あ、じゃあお家物色デートってことで!」
「…はァ?」
折角総悟の家に来てるわけだし。ちょっとした探検だよね。
ふふ、弱みのひとつでも握って帰ってやる!
「ま、物色といえばセオリーはベッドの下だよね」
「何も楽しいものなんざ出てきませんぜィ」
呆れた顔で私を見る総悟は、言うだけで別に止めようとはしない。
「止めないならほんとに見ちゃうからねー………!!!」
覗き込んだベッドの下にあったものを見て、一瞬思考が停止する。
「…なに、あの大量の儀式セットみたいなやつ」
「土方さん抹殺用にきまってんだろィ」
あっさりとそう言ってのける総悟に驚きつつ、今度は机へ近づく。
「机の引き出しとかも、色々入って…るね、御札が」
「呪いが失敗したときに使う呪い返し用のですぜィ。にも一枚やりましょうか」
「いや、別に私呪いとかしないから。っていうかどんだけ本格的にやってんのよあんた」
弱みを握るどころか、ここにいたら何か変なものに取り憑かれそうな気すらする。
バシンッ、と勢いよく引き出しを閉めると、机の上からひらりと一枚の紙が落ちた。
「あれ、なにこれ」
さっきの御札とは形が違う白い紙。
「…!オイ、それはっ」
私から紙を取り上げようとした総悟の手をかわして、紙をひっくりかえす。
「ん?写真…ってちょっと待てェェこれ私の写真じゃん!何で持ってんの!」
「チッ…もうちょっと厳重に仕舞っておくべきでしたねィ。とりあえず、返しなせェ!」
ぎゅっと写真を握り締めて、伸びてくる総悟の手をかわす。
「なんで持ってんの!隠し撮りか!ついにストーカーに目覚めたのか!」
「違いやすぜ。俺ァストーカーなんかするより、真正面からいじめ…向かっていく方が性に合ってらァ!」
「今いじめっていいかけたでしょ!まさか、この写真をバラまかれたくなければ…とかいうやつでもしようと企んで…」
「ねーっつーの」
その声と共に、いつの間にかすぐ近くへ迫っていた壁に、私の写真を持つ手が押さえつけられる。
「…誤解されたまま、っつーのは嫌ですからねィ」
そう言いながら、総悟は私の手に握られた写真をひったくる。
「ほら、よく見てみなせェ」
「んー…?」
顔の前に差し出された写真。
…あれ、これ見覚えある…えっと、たしか…。
「文化祭で、神楽ちゃんと写真撮り合っこしたやつだ!!」
「な。俺じゃねーだろ」
「でも何で持ってんの」
そう尋ねると、総悟は視線をうろうろさせて、あーとか、んーとか唸っている。
そんなに言いづらいことなんだろうか。
なんて思ってると、何かを振り切ったのか総悟は私を見て言った。
「好きな奴の、の写真くらい持ってたいから、無理言って譲ってもらったんでさァ」
「…ええぇ!?」
まさかそんな答えが返ってくるとは。
予想外のことに、今度は私が視線をうろつかせる。
「…えーと、じゃ、今度外デートしたときに、一緒に写真撮る?」
自分で言っておいて恥ずかしくなって、総悟の足元へと視線をそらす。
「俺ァさえいりゃ、家だろうが学校だろうがどこだってかまいやせんぜ」
頭の上から降ってきたその言葉に、反射的に顔を上げる。
顔を上げると同時に、ふい、と顔をそらした総悟の耳は少しだけ赤くなっていて。
普段なら言わないような台詞に、笑顔で答える。
「…私も総悟がいればどこだっていいや!」
室内ランデブー
(後日、私と総悟の部屋に同じ写真が飾られていた。室内撮りの、2人の写真が。)
あとがき
総悟とお家デートというリクエストだったので、学生設定にしてみました!
なんともまとまりが無いお話ですが、甘さとギャグを取り入れようと頑張ってみました。
総悟があんまりサドサドしてなくてすいません。きっとアレです、彼女には弱いんです(ぁ
では、キリ番おめでとうございました、ありがとうございました!!
2008/10/24
(掲載なさるときはあとがき消してOKですよー!)