今日もかぶき町はいい天気です。そして私は万事屋へ行くため、賑やかな町を歩いてる最中。
最近じゃほぼ毎日こうして万事屋へと向かっている。
前までは1週間に2、3回くらい遊びに行くくらいだったのに。
「ー!」
公園の横を通りかかったところで名前を呼ばれて振り返る。
「神楽ちゃん!それに新八くんに定春もー!」
2人と1匹を見つけて、手を振って公園のフェンスに近寄る。
「今から銀さんのとこ行くんですか?」
「うん、そうそう」
「大変ですよね。最近じゃ毎日、朝から電話かけてますもんね」
そうなんだよね。
毎朝、銀さんから電話かかってくるんだよね!
最近じゃ軽くモーニングコールみたいになってきてるよ。電話の音で目が覚めるよ。
「も大変アルな」
「あはは、まぁ、お陰で寝坊しなくてすむから…まぁいいかな!」
朝が弱い私にとっては、丁度いい目覚まし代わりなわけで。
「あれ絶対禁断症状ヨ!そのうち爆発したら大変アル」
「銀さんが何かおかしかったら、遠慮なく張り倒していいですからね」
「…りょ、了解!」
にこやかに凄いことを言う新八くんたちに、じゃあね、と言ってまた万事屋への道を歩く。
そして、万事屋玄関。ピンポーン、とチャイムを鳴らす。
するとすぐにどたどたと走る音が聞こえてきて、物凄い勢いで玄関の戸が開いた。
「ーー!!遅かったじゃねーか!」
「遅くないよ!そもそも朝っぱらから来た私に感謝してよね!!」
いつもどおり、居間はきっちりと片付けられて、さっぱりとしていた。
けど、今日は銀さんの机の横に、大量のジャンプが積み重なっていた。
「あ、これ!ここ読み逃してたやつ!」
ずらりと並んだバックナンバーを見て言う。
「ね、読んでもいい?」
「ん?いいぜ。ほらよ」
積み重なったジャンプからすばやく一冊を抜き出して、私に差し出す銀さん。
「ありがと!」
ソファに座ってジャンプを読む。
一週間分抜けただけで話分からなっちゃうからなー。
さすが銀さんだよね。しっかり毎週買ってるもんなぁ。
なんて思いながらページをめくる。
その間、暇になったのであろう銀さんは、私の横に座ったり、向かい側に座ったりと動き回ってる。
普段なら、気が散るわァァ!!と怒鳴るところだけど、今はジャンプに没頭中なのであんまり気にならない。
半分くらい読み終ったくらいで、銀さんはソファの背もたれをはさんで、私の頭に顎をのせてきた。
……いや、さすがに、邪魔。
「…銀さん、重いんだけど」
「んなこと言ったってよォ、俺は暇なんだー」
そう言いつつ私の髪の毛を触りだす。
「ちょっと銀さん!一応整えてきてるんだから…」
髪を撫でられるのは嫌いじゃない。
けど、今は撫でられているというより、引っ掻き回されてる感じだ。
「くっそー、きれいなサラサラヘアーしやがってー!!」
「は!?ちょっと!何すんのよ銀さん!!」
もしゃー!!っと私の髪の毛を引っ掻き回す銀さん。
「いやーー!!くしゃくしゃじゃん!あああ朝の努力がぁ…!」
「ハッ!俺と同じ天パっぽくなるかもなー!」
少しだけ振り返ってみると、にまーっと笑った銀さんと目が合った。
お 前 ェ ェ … ! !
「俺とおそろいになれるぞー」
「えぇー…絶対嫌」
ビシリと言い放つ。
「あぁぁあー!傷ついた!銀さんのハートがの一言でズタボロだよ!」
「知るかそんなもん!私だって朝から頑張って髪の毛セットしてきたのに!」
一応、銀さんのとこ行くときは、気合入れてセットしてるのに…!
未だまとわりついてくる銀さんの手をベチンと叩き落として
ジャンプを膝に置いて、髪に手櫛をいれる。
引っ掻き回された所為で、先のほうが絡まって痛いんだけど!
「もおおー!なんてことすんのさー…あああ絡まってるぅぅ…」
くいくい、と髪の先を引っ張って絡まっている毛をほぐしながら呟く。
すると、急にぎゅうう、と腕を回されてソファごしに抱きしめられる。
…え、なにいきなり!!
「ちょ、ちょっと銀さん?」
ほぼ真横にある銀さんに言う。
回された腕で首が固定されてる所為で銀さんのほうは向けないけど。
「くっそー、ジャンプとか髪とかじゃなくて、もっと俺にもかまえ!!」
「はぁああ!?何言って…………」
…いや、マジで今、何て、言った?
「…ぎん、」
「言うな言うなとりあえず何も言うな!!!」
まくし立てるように言って更に腕に力をいれられる。
ちょ、ちょっと、首が絞まりそうなんだけど。
しばらくして深呼吸みたいな呼吸音が聞こえて、そしてやっと銀さんが口を開く。
「…あー。その、なんつーかね、最近がいねーと落ち着かねぇんだよ」
ちらりと横目で銀さんを見ると、いつもよりほんのり顔が赤く染まってる気がした。
「だからさ、毎日会いたくなっちゃうわけよ」
「…まさか禁断症状ってやつ?」
朝の神楽ちゃんの言葉を思い出す。
「あー、そうなのかもな。禁断症状」
そんなもんあるか!!
…と言いたいけど、実際今私にひっついてるこの人がそれなんだろう。
「だからさー、その、えーと」
あー、とかうー、とか唸りながら私の首に回る腕に力を入れられる。
いいかげん、苦しい…!
「…!!」
「は、はいっ!?」
どうやって腕を解こうか悩んでたときに大声で名前を呼ばれる。
「ここに、万事屋に引っ越してきませんか!」
「……え、っと?」
「一緒に住めばずーっと一緒にいられるだろ」
何を突然、と思いながらも、いつもと違う真剣な声色。
……マジですか。
「…一緒に住んでも、毎日モーニングコール…っていうか朝起こしてくれる?」
「おうよ!まかせときな!」
散歩から帰った神楽ちゃんと新八くんに歓迎されるまで、あと少し。
ストレートに言ってよね
…じゃないと私も素直になれないんだからさ。
「んじゃーストレートに。、今夜俺と、」
「そういうところはストレートじゃなくていいの!!!」
…愛情表現って難しい。
あとがき
ギャグですか?と聞かれると、何て返したら良いのか分からない一品です。
最後のオチが微妙ですいません…!とりあえず万事屋へお引越しの準備をどうぞ!(ぁ
さくるん!キリ番おめでとうございましたー!!そしてありがとうございます!!
2007/12/14
(掲載なさるときはあとがき消してOKですよー!)