「ふふ…ひざまずくアル愚民達よ」

「「あ?」」

「頭が高いって言ってんだヨ、この貧乏侍どもが!!工場長とお呼び!!

「神楽ちゃん前かぶき町の女王って言ってなかったっけ?」

「女王様なんかより工場長の方が生産的だから偉いアル!それより、素敵な紙が手に入ったのヨ!」

「ん?何なにー?」

 

 

 

 

第1曲 初めての宇宙旅行

 

 

 

 

買い物袋から神楽ちゃんが取り出した一枚の紙、それにはこう書いてあった。

「宇宙への旅四名様!?」

「「こ、工場長ォォォーー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、私たちは今空港にいます。

「くあー!新八くんっ!私は宇宙旅行なんて初めてだよ!」

「僕も初めてですよ。やっぱり宇宙から見た地球は綺麗なんでしょうね」

「あー楽しみ!…ってか銀さんと神楽ちゃんは?」

 

 

 

フライトまであと少し。なのに2人の姿は見当たらない…かと思っていたら。

ー!さだっ、定春が誘拐されたアルぅぅー!!」

「ぐふっ!…か、かぐ…ら…ちゃんっ…!く、るしっ」

お腹に物凄い勢いでタックル…いや、多分本人は抱きついてるだけなんだろうけど、一般人な私はかなり苦しい。

 

 

「ちょっと神楽ちゃん!さん死にそうだから!」

ぐいぐいと神楽ちゃんを引き離す新八君。

「ったくよー、金属なんて持ってねぇっつーのに…って何してんだお前ら」

「銀さん手伝ってください、さんが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅぅー…死ぬかと思った…」

あれから新八くんと銀さんによって救出された私たちは、宇宙船に乗り、お昼ご飯を食べていた。

 

「さっきはごめんアル、

「ううん、いいよいいよ。定春が心配だったんだよね」

 

もぐもぐ、と口を動かす神楽ちゃんの頭を撫でてあげると、ふわりと笑って言った。

「ありがとーアル。は優しいネ。私、に頭撫でられるの大好きアル!」

 

 

…可愛い。何この子、めっさかわいいんですけどォォォ!!!

 

 

「はいはい、そこ女同士でイチャイチャしねーの。頭くらい俺が撫でてやらァ」

「嫌アル。私はがいいネ!」

そう言ってぎゅーっと私の腰に抱きついてくる神楽ちゃん。今度はちゃんと、力抑えてくれてるみたい。

 

「つーかさっきからにひっついてんじゃねーよ離れろ神楽!」

「ちょ、銀さん暴れないの!!」

「何だよ女2人揃って反抗期かよコノヤロー。どうしよう新八くん」

知りませんよ。っていうかほんと落ち着いてくださいよ!みっともない!」

 

 

 

ぎゃーぎゃーと騒いでると、船内に『皆様、左側をご覧になって下さい』という放送がかかった。

 

「わーキレイだー」

「小さな悩みなんてどうでもよくなってくるなー」

「うんうん、心洗われるねぇ」

「洗っちゃいけないよ!心に遺しておかなきゃいけない汚れもあるよ!」

 

新八くんのツッコミを背に、私たちは窓に張り付くようにして外を見る。

宇宙旅行なんてこれが最初で最後だろうし。しっかり目に焼き付けておかなきゃね!

 

 

 

 

 

「ちょっと僕、定春探してきますよ。同じ船乗ってるかもしれないし」

言い終わるか終わらないか、くらいでカチャという金属音がした。

「…え?」

 

 

「騒ぐなァァ!これよりこの船は我々革命組織『萌える闘魂』が乗っとった!」

 

がやがやと何人もの人が叫ぶ声が船内に響いた。

ちなみに私たちは。

 

 

「俺死んだら宇宙葬にしてもらおっかな。星になれる気がするわ」

「何それ!?宇宙葬なんてあんの?うわー、さすがここは時代が違うわ…!」

「ホントアル。皆で星になるアルヨ」

「うぉーい!!ほんとに星になっちまうぞ!!」

 

 

「オイ貴様ら何をやっている?我らの話をきいてい…」

「ほアたァァァ!!!」

ガゴッといい音を立てて、神楽ちゃんの蹴りがヒットする。

続いて銀さんも通路にいたハイジャック犯へとび蹴りを食らわせる。

 

 

「チッ、動くなァァ!」

「…ふふ、私だってやるときはやるんだよー…!」

 

向かってくる相手を見据えて右手を掴み背を向け、思いっきり、投げ飛ばす!!

そしてハイジャック犯はぐふっ、という声を上げて床に倒れこんだ。

 

 

「ふう」

「ふうじゃねーよ。おめー、どこでそんなん習ったんだ。銀さんすげーびっくりなんだけど」

「お妙さんが護身用に、って。さすがに目潰しは痛々しいからねー」

「うわーちゃんこわーい」

 

 

なんてやりとりをしているうちに、ほとんどの犯人を気絶させられたようで、観光客からは拍手と歓声が上がっていた。

内心、結構あせってたんだけどね私!!

 

 

 

調子に乗って、観光客に向かってポーズをとっていると、背後でガチャン、という音がした。

 

 

「「「「あれ?」」」」

 

 

「ふざけやがって、死ねェェ!!!」

叫んだ直後、犯人の後ろの扉が勢いよく開き、ガンッという音を立てて頭に命中。

不意打ちの攻撃に、犯人は気絶。

 

 

 

 

「あー、気持ち悪いのー。酔い止めば飲んでくるの忘れたきー、アッハッハッハ」

 

 

 

やけに能天気な声が、静まった船内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

トリップ連載第2章開始!またしばらくギャグへ戻る予定です。

ヒロインはお妙さん直伝の防衛法によって強くなってました(何

2008/7/27 *サイト一周年記念更新1