「、起きろー朝だぞー仕事だぞー」
「ん…今日は仕事お休みだよぅ…」
「今日は万事屋としての仕事だっつーの!ほら起きろ起きろ!」
「うう、あと2時間…」
「長ェよ」
第12曲 二度寝のできる日々
朝の光が眩しくて、布団を頭まですっぽり被っていると布団の向こうから銀さんの声が聞こえた。
今日も仕事だと…?なんなの、この仕事ラッシュ。
「ほら起きろ、今日はお前も手伝え!」
「うー…あ、そうだ銀さん…その前に話したいことが…」
ごしごしと目を擦って眠気を引きずったまま立ち上がる。
「とりあえず朝飯食ってからな」
「うん」
こくんと頷いて、私は居間へと向かった。
「あ、おはようございますさん」
新八くんは目を閉じたまま朝ご飯をかっ食らう神楽ちゃんのお茶碗にご飯をよそう。
なんだかわんこそばならぬ、わんこご飯だ。
毎朝見てるけどナイスプレーだよね。
「おはよう新八くん、神楽ちゃん」
「ん、おはよーアル」
ぱちりと目を開けて、私の分の席を空けてくれた神楽ちゃんの隣に座る。
銀さんも新八くんの隣に座って、ふああとあくびをした。
「さん今日の仕事のこと聞きました?」
「うん、聞いた聞いた。めずらしいねー連日仕事が入るなんて」
ずずっとお味噌汁を吸う。今日もいい味をしてる…ほんと新八くんいいお嫁さんになりそうだ。
「といっても、しょーもない仕事ばっかりネ。今日は神社の掃除らしいヨ」
本日何杯目か分からないご飯を食べながら神楽ちゃんは視線だけこちらへ向ける。
「そのくらいの依頼の方が平和でいいよ」
そう言って笑うと新八くんも同意してくれた。
「しっかし…なんかかったるくなってきた…おいお前ら三人で行ってこいよ」
「依頼受けたの銀さんじゃないですか。行くなら銀さん一人で行ってきてください」
ぴしゃんと言い放った新八くんに銀さんはチッと舌打ちをしてご飯に箸をつける。
「そういえば、仕事は大丈夫なのか?お前そっちはそっちであるだろ?」
「あーそれなら大丈夫。なんかね、新人さんが入ってくるらしくて、しばらくお休みもらえたんだー」
研修期間というものだろうか。
それでしばらくは人手も足りそうだから、緊急時だけ連絡するよと店長に言われたのだ。
元々人手が足りないときのピンチヒッター役だったのに、最近はほぼ毎日行ってたからなあ。
結構楽しいんだけどね、世の中のお父さん情報が知れるし。
「そういえば、たまに姉上から聞くんですけど、さん人気あるみたいですね」
「ならとーぜんアル!」
もごもごとご飯をほお張りながら言う神楽ちゃんにそんなことないよ、と言いながら漬物に箸を伸ばす。
すると私の前からガキンッという、何か硬いものでも噛んだかのような音がした。
「…銀さん、箸噛み切らないでくださいよ」
「分かってらァ。お前は黙って飯よそってろ眼鏡」
誰が眼鏡ですか!とツッコミを入れながらもちゃんと手は動いている新八くんに改めて感心した。
「まあ、私のお客って基本世のお父さん世代だけどね。娘とのコミュニケーションについてとかの相談が多いんだよ」
年頃の娘とお父さんっていうのは、結構すれ違うというか…難しいものだからなあ。
「が仕事休みってことは、しばらくは私とも一緒にいっぱい遊べるアルか!?」
「うん、定春の散歩とか一緒に行けるよ」
ぐるっと勢いよく私を見て嬉しそうに笑った神楽ちゃんを見て、つられて笑顔になる。
「きゃほーい!じゃあ早速今日から遊ぶアル!新八、掃除お前一人で行けヨ」
「ちょっとォォォ!?神楽ちゃんも銀さんも仕事はちゃんとやってください!せっかくの収入が…!」
あ、確かに。
私が休みになると収入が限りなくゼロに近づいてしまう。
「あーくそ、しゃーねーな…。じゃあ、とりあえず…二度寝してから行くか」
「「賛成!」」
「お前らぁぁぁあ!」
今日も新八くんのツッコミは健在です。
そして私たちが二度寝から起きる頃には、太陽は随分上まで昇っていた。
「げ、もうこんな時間かよ。さすがに寝すぎたか」
「んー…もうこうなったら掃除明日にするアル。今日やろうが明日やろうが大して変わらないネ」
「変わるから!!あーもう!早く行きますよ!!」
布団を畳みながら私はそんなやり取りをする三人を見て小さく笑った。
でもこの余裕っぷり…時間とか決まってなかったんだろうか、なんて少し不安に思いながらも出かける準備を始めた。
さて、二度寝もしてスッキリしたことだし。仕事、頑張りますか!
あとがき
話数を合わせるための話だなんてことは、ない、ですよ!←
2011/01/16