ざわざわと風が木の葉を揺らす音が響いている。
私のいるここ、学校の裏庭は生徒の声なんてたまにしか聞こえてこない。
今週は私と友達がこの裏庭の掃除当番。
ひゅう、とつめたい風が吹く中、私は枯葉を集めていた。
第1曲 扉の向こうにあるものは
「人来ないんだからさぁ、こんなところ掃除しなくてもいいと思わない?」
ざっざっ、と枯葉やごみを集める。
「まぁねー。でもしょうがないよ」
私の友達、刹那はそう言いながらちりとりにごみを集めて大きなごみ袋に入れる。
そんな作業を繰り返しているうちに、掃除終了のチャイムが鳴った。
「よーし、おわりー!!私ほうきとちりとり片付けてくるから」
「おっけー。頼むよ。あたしはごみ捨ててくるからさ」
刹那からちりとりを受け取って、私は裏庭の隅にある掃除道具倉庫に向かった。
裏庭の隅。
そこにぽつん、とある掃除道具倉庫。
「よいしょ…ってあれ」
ぐい、と扉を横に引いても、かたくて開かない。
「え、なんで。私そこまで強くしめてないし」
ほうきとちりとりを出したときは、するりと開いたのに。
「うぐっ…ちょ、これおかしいって…!」
ぐいぐいと引いてみる。
「片付けないと…帰れないじゃん!」
ぽいっとほうきとちりとりを地面に置いて、両手で思いっきり扉を引く。
「おりゃああ!!」
バシンッ、といい音を立てて扉が開く。
「よっし、あい…た…」
扉は開いた。
けど、目の前に見えたのは、大量のほうきが私に向かってなだれ込んでくる光景。
「うそ…っぎゃああああーーー!!」
そこで、私の意識は遠のいていった。
目の前が、真っ暗。
そりゃそうだろうね。だって今私、目閉じてるもん。
あれ?なんで目閉じてるんだっけ?
「おーい」
あー、なんか呼ばれてる。
けど私じゃないよね。うん、多分そう。
「おい!聞いてんのか!?」
はいはい、聞こえてる聞こえてる。
…って何。私に話しかけてる?
うーん、でも目開けたくないんだよね。頭もぼーっとしてるし。
「道の真ん中で寝てると轢かれるぞー。っつーか轢きそうになっただろうが」
…轢く?
「…あーもう、俺ァ知らねーからな!」
道の真ん中…?
「何で!?っていうか何で道にいるわけ!?」
学校にいたはずなのに!
そう思ってがばっと勢いよく起き上がり叫ぶと、さっきから喋っていたであろう人が一歩下がった。
「お、おま、いきなり起き上がるんじゃねーよ!び、ビビッたわけじゃねーけどな!」
そう言って冷や汗を流す人。
「………っ…え、あ…」
「…何でいきなり黙るんですかー。わけわかんねぇよもう」
だるそうに、そう言ってくるこの人。
銀髪の天パ、そして見覚えのある着物、腰に挿した木刀…。
「…ぎっ、ぎ、んっ…!!え、うっそ、何で何で何で!?わけわっかんねぇ!!!」
「わけわかんねーのは俺の方だっつーに!!!」
道の真ん中で、私と私が一方的によく知っているその人は、大絶叫をした。
あとがき
トリップ連載の始まりですー。サイトのメインヒロイン刹那は友情出演です(ぁ
とりあえず最初は名前はでてこなかったものの、皆さんのよく知るあの人との出会いでした!
2008/1/27