「あの、なんで私だけ別室なんですか」
「あんたがボスなんだろィ?」
…何その超誤解!!!
第7曲 普通のカツ丼でお願いします
「なんでィ、違うんですかィ?」
「違う!ぜんっぜん違いますよ!むしろ攘夷志士ですらないですってば!!」
あれから私を含め、万事屋メンバーは真選組で取調べ中。
どこで行き違ったのか、私だけ別室で取り調べされてます。
「あーあー、皆そう言うんですぜィ。えーっと…名前なんでしたっけ?」
「です。」
「ですねィ。俺ァ沖田総悟でさァ。そんでもうすぐ来る目つきの悪い死んで欲しいやつナンバーワンが…」
「誰のことだそれは。あぁ?」
扉を開けて入ってくるなり低い声が聞こえた。
「つっかかってくるってことは、自覚あるんですかィ土方さん」
「ねぇよ。っつーか妙な紹介してんじゃねぇよ」
そう言いながら、足で扉をバタンと閉める。そしてチラリと私のほうを見て言う。
「…真選組副長、土方十四郎だ」
「あ、、です」
そんな自己紹介よりも気になるのは、どどんっと私の前に置かれてる丼だ。
「あ、あのー…これは?」
「ん?カツ丼土方スペシャル」
あぁ、なんていうか、この世界に来てこんなに早く見ることになろうとは。
なんかもう凄すぎる。カツ丼って言われても、カツ見えてないんだけどこれ!!
「…え、えっと、食欲ないので…どうぞ」
「なんだ。遠慮するこたァねぇぞ」
「遠慮じゃないです!むしろ土方さんこそ遠慮しないで食べてください」
「そりゃそうでさァ。そんなモン食べたら死にやすぜィ」
ぐいぐいと丼を目の前のいすに座る土方さんの前へと移動させていると、横から沖田さんが手助けしてくれた。
「…美味ェのに」
「で。向こうの奴らにも聞いてきたんだが…本当に攘夷志士じゃねぇんだな」
「本当ですってば!刀なんか持ったこともないですって」
やっと真選組とも出会えたっていうのにいきなりブタ箱行きは勘弁していただきたい。
「まぁでも攘夷志士だったら、あの時に俺ら殺られてたかもしれやせんしねィ」
「ほらほらっ!だから、私違いますって!」
「武器らしいモノも持ってねぇみたいだしな…。まぁ、いいか」
「じゃ、じゃあ…!」
「釈放」
なんか既に牢獄に入れられていたかのような言い方だけど、この際もういいや!
「っていうか帰り道がわかりません。外まで案内してくださいよ」
「ああ…と言いたい所だが、俺らはまだ仕事がある。お前と一緒にいた3人の取調べがまだ残ってるからな」
「そうなんですかー……ってええええ!?」
まだここにいたんだ銀さんたち…!
私がボスだとかなんとか言われたから、もう先に帰ってるかと思ってたのに。
「あの、その人たちのところまでついていっていいですか」
「お仲間さんが気になるんですかィ」
「一応居候してるとこの家主なんで」
やけに含みのある言い方をされたけど、スッパリと切り替えした。
一応とか言っちゃったけど。
「だーかーらー!関係ねぇっつってんだろうが!!」
「そうヨ!私たちも被害者アル!」
扉をあける前からそんな怒鳴り声が聞こえる。
何を言っているか聞き取れないけど、対応してる人はかなりおどおどしてるみたい。
っていうか…なんか、どこかで聞いたことある声な気がする。
叫び声に負けず、土方さんは扉を開ける。
「うるっせーんだよお前ら!外まで声響いてるだろうが!」
「あ、ふ、副長ー!どこいってたんですか、こっちはもう、大変で…」
…うおあああああ!!
どこかで聞いたことある声だと思ったら…退じゃん!
「俺が席外したのなんか数分だろうが。しっかりやれよ、ザキ」
「いやでも、関係ないって言ってるんですよ。やっぱり攘夷とは関係ないんじゃ…」
土方さんが喋りながら部屋に入ってから、私も後ろを控えめについていく。
「!大丈夫だったか?」
「こいつらに何かされなかったアルか!?」
「大丈夫大丈夫!見事釈放ー!」
ガタガタと音を立ててイスから立ち上がる二人にむかってにっこりと笑う。
「ほらほら、ついでに俺たちも釈放しちまおうぜ副長さんよ」
「うるせぇよ。腰に木刀なんざぶら下げやがって、疑わしいんだよおめーは」
「なんだよ、俺は体張って爆弾処理してやったんだぞコノヤロー」
言い合いを続けてる2人はさておき。
さっきから新八君が俯いて黙り込んでる。
…そろそろ、爆発するんじゃないかなぁ。
「元はおめーらの所為だろうが」
「違うっつーに!俺らは偶然あそこに居合わせただけで」
「その割にはやけに…」
土方さんがそういいかけたとき。バンッっと机を叩く音と共に、声が響く。
「いい加減納得しろコノヤロォォ!!僕らは関係ないんです!!」
突然響いたその声に、この場にいた全員が固まった。
「それより早くしないとお通ちゃんのライブが始まっちゃうんです!!」
皆の心の中で「そっちは関係ないだろう」というツッコミがはいった気がした。
「命はって爆弾処理してやったってのによォ」
ガンッと真選組の看板に蹴りを入れる。
「もういいじゃないですか、テロリストの嫌疑も晴れたことですし」
そう言って新八くんは、私たちに背を向ける。
「じゃ、僕今からお通ちゃんのライブいってきますんで!さん、そのバカ2人よろしくお願いします」
「うわお、それ私がツッコミやれってこと?」
「他にいないですし!じゃ行ってきます!」
「…が、頑張る!行ってらっしゃーい!」
走っていく新八くんにぱたぱたと手を振って見送る。
「っていうかさっさと帰ろう…」
新八くんが見えなくなった頃、くるりと、銀さん達のほうを振り向く。
「おええええ!!」
「神楽ァァア!!てめ、場所考えろ!」
「…戻ってきて新八くーーーん!!!」
これから万事屋に帰るまでに、また一苦労したことは忘れません。
っていうか…もうちょっと喋ってたかったなぁ真選組の人たちと。…なんてね!
あとがき
取り調べから解放ー。割とオリジナル要素が強かった…かなと思います。
次回はどうなるか!私もわかりません!(ぉ
2008/4/3