今日は水曜日。

一週間が始まって3日目。正直、だるいです!

 

 

「うあー…」

「すごい声でてるわよ、ちゃん」

「大丈夫アルかー?」

机で突っ伏してぐったりしてるあたしに妙ちゃんと神楽ちゃんが寄ってくる。

「いやもう、眠くてねー」

「次数学ヨ」

「うわ、完全に寝る自信あるよ」

数学、といえば坂本先生。授業適当そうなのに寝かけると指名してくるんだよなぁ。

まぁ分からなかったらちゃんと教えてくれるからいいんだけど…。

 

 

問答無用で、数学は眠い。…眠いんだ。

「…ちょっと屋上行って風に当たってくるー…」

「10分くらい時間あるから、ゆっくりしてらっしゃい」

にこっ、と妙ちゃんに笑って言われる。なんか癒されるなぁー。

「じゃ、いってくるね」

「いってらっしゃいアルー!」

ぱたぱたと手を振って教室から出る。あくびしながら、というオプションつきで。

 

 

後ろから

「お妙さーん今日一緒に帰りませんかァァー!?}

「帰らないわよ死ねゴリラァァァ!!」

「姉御!そっち向きに蹴ったら窓から落ちるネ!ゴリラが!」

っていう叫び声が聞こえてきたけど…気にしないでおこう。いつものことだし。

あたしの机が倒れたりして被害にあってなきゃいいけど…。

(この間沖田が意図的にあたしの机の中身を引っ掻き回して教科書数冊をかっぱらっていった。

知りやせんぜ?とか言ってたけど後で土方君に聞いて一緒に沖田をシメた。

教科書も奪還。所々落書きされてたけどね…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンカン、と音を立てて階段を登る。

ガチャリと屋上への扉をあける。

 

ひゅぅ、と風が吹いて気持ち良い。思わず目を閉じる。あぁ…余計寝そうになってきた。

いやいや、駄目だよね。数学でなきゃ…。

「あれ、さん?」

名字を呼ばれて目をあける。

「あ、山崎君!」

屋上に出ると柵にもたれかかっていた山崎君が振り返った。

 

 

あたしもすたすた歩いて山崎君の横の柵に寄りかかる。

「どうしたの?こんなトコで。眠気覚まし?」

「違うよー…って屋上来たら余計に寝たくなるじゃん。俺は…その、非難」

最後は苦笑いで言う。…非難?

「あ、もしかして妙ちゃんと近藤君の…」

「そうそう。あの乱闘。巻き込まれたくないしねー。この前机が巻き込まれてたけど

山崎君の席はあたしのうしろ。そして近藤君の横。

 

でも机が教室の一番後ろまで吹っ飛んでたのは沖田のせい。

死ねィ土方!とか叫びながら思いっきり山崎君の机を蹴り飛ばしていたのをあたしは見た!

 

って、そういえばいつも山崎君はお昼の放課の時、姿が見えない。

 

 

…そういえば。今までずっとお昼放課いなかった気がする。

あれ、何で気付かなかったんだろあたし。

 

 

「あ、地味だからか」

「何か言った?」

「…!!なっ、何でもないです!!」

おおおお、恐ろしい!なんか凄い怖かったよ今の笑顔!顔に陰できてたよ!?

 

 

「まぁいいや。それで…さんは眠気覚まし?」

「うん、そう…ついでに非難、かな」

さっきの叫び声がその証拠。今戻ったら確実に巻き込まれる。

「うあー、また机飛んでなきゃいいなぁ…」

遠くを見つめる山崎君からは何やら苦労してますオーラが漂っている。

「あはは、あたしもだよー…ふああ…」

ごしごしと目をこする。

「…まだ放課時間あるし、少し寝たら?ちょっとでも寝るとスッキリするかもよ?」

「うーん、そっかなー…じゃ、お言葉に甘えて…」

柵から離れて壁際に座り込む。

 

 

「放課終わりそうになったら起こしてねー」

「はいはい」

すっ、と目を閉じるとすぐに眠気に襲われる。あー…静かで、いいな。

 

 

 

 

意識が飛ぶ瞬間に、

「…俺じゃなかったら襲われてるよ、さん」

って山崎君の声がしたような気がしたけど、もう夢の世界に入りかけてるあたしには

ぼんやりとしか聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さん、さん!もうそろそろ放課終わるよ、……ちゃん!!

「うわっ、あ、やまざき、くん……あれ?」

今、名前で呼ばれた…?

「…ねえ、今名前…」

「え?……あっ!ご、ごめん、嫌だっ「いいよ」

そう言った瞬間あたしの顔を覗き込んでる山崎君はちょっとびっくりしてた。

 

 

「名字ってなれてないからさ、名前で呼んでよ。…退くん!」

 

 

「…ちゃん……あのさ」

すとんっとあたしの横に座る退くん。

「…数学サボっちゃわない?」

「え、退くん…いいの?授業出なくて」

「うん。っていうか、そのもうちょっと風に当たってたくて…」

「うーん……坂本先生…だし……サボっていいか

 

 

寝ぼけてるあたしは、あの先生はやるときはやる、ということをすっかり忘れていた。

 

 

 

 

もう一度、目を閉じる。

すーっと風が髪をなでていく。あぁ、今日はお昼寝日和だな、なんて思いながら

鳴り響く数学スタートのチャイムを聞く。

さて、今から先生が笑顔で怒って探しに来るまでは、ここで風に当たっていよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼寝の時間


(なんでそんなに警戒心薄いの?さっき上目遣いしてたって分かってる?あぁもう、はやく落ち着け俺の心臓!)

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

うわーーー甘いよーー…(吐血

名前で呼ぶのが恥ずかしくてずっと名字で呼んでたけどウッカリ名前で呼んじゃった照れ屋退。

最終的にドキドキしちゃって襲うも何もできなかった純情退(さっきから酷い言い様

とりあえずヒロインさんは男の前で無防備に寝るなよ!な一品でした(ぇ

2007/08/26