今日は木曜日。

あぁ、何だかんだでもうすぐ一週間が終わるのね。

 

…そう簡単に終わらないのが銀魂高校だけど。

 

 

 

 

 

 

ここは中庭のひときわ大きな桜の木の下。まわりにもたくさんあるけどね。

今の季節は花も咲いて無いけど、ちょうどいい日陰になっている。

そこに神楽ちゃんと座って、お弁当をひろげる。

 

「さーてお昼ごはんーっ!」

今日はお弁当アルか」

「うん。そうそう、流石に毎日あの購買戦争に巻き込まれてたら死にそうだしね」

 

 

毎日おこる、お昼の購買戦争。ほんとにアレは恐ろしい。

たまーに銀八先生が乱入してたりする。「いちご牛乳は俺のだァァ!!」って叫んでたなぁ。

そんな中に毎日居たら体が持たないからね。たまには自分で作るわけよ。

 

 

「あんな奴らみんな蹴り飛ばせばオーケーネ」

「それは神楽ちゃんにしかできないと思うよ」

ぐっ、と親指を立てて眼鏡を光らせる神楽ちゃん。

いやいや、あたしには無理だから。30人も蹴飛ばせないから。

 

 

 

 

 

 

「あれ?ちゃん!」

「げっ、クソチャイナ」

「何だ。お前らもいたのか」

退君、沖田、土方君がやって来た。…あれ?いつもは屋上で食べてるはずなのに。

「何しに来たアルか。私はとお昼食べるアル。お前らはどっか行くネ!」

「アンだとクソチャイナ。てめーがどっか行けィ」

「ちょ、神楽ちゃん!沖田もやめろ!…ほら、中庭広いし、皆でお昼食べればいいじゃん」

ここで乱闘されるとあたしのお弁当がふっとぶでしょ。それは阻止せねば。

 

「っていうかどうしたの?いつも屋上で食べてるよね」

「たまには場所変えようかと思って」

「そっかー」

まだわーわー言ってる神楽ちゃんを宥めつつ3人分のスペースを空ける。

 

 

 

 

 

 

「そういえば山崎ィ、お前いつからって呼ぶようになったんでィ」

「へっ!?え、つい、昨日から…」

サンドイッチをほお張りながら苦笑いで言う退君。そりゃそうだ、沖田の笑顔が凄く怖い。

うわー退君ガッタガッタ震えてるじゃん。とはいえ助け舟なんか出したら今度はあたしがピンチなわけで。

…ごめんね退くん!

 

「…、男どもになんかされそーになったら私に言うネ。ボッコボコにしてやるヨ」

「え?何?何でいきなり?」

「…お前意外と鈍いんだな」

マヨネーズだらけのおにぎりを(おにぎりとは思えない音を出しつつ)ほおばって言う土方君。

「に、鈍いって何さー!?そういう土方君は味覚が鈍いよね!」

「どこがだ!お前もマヨかけて食ってみろって!」

「ぎゃああ!やめてぇぇー!あたしのお弁当ーー!!」

っていうか今土方君どこからマヨ取り出したの!?制服!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなお昼ごはんを食べ終わったくらいに退君がぼそっと呟いた。

「桜の木の下といえば…」

「死体だろィ」

「なんでそんな夢の無いこと言うんですか沖田さん…」

片手に持っているコーヒー牛乳をずびずび鳴らせてズバッと言い捨てる沖田。

「何かあるの?」

「うん、ほらジンクスみたいなやつ。

この桜が満開のときにここで告白すると恋が叶うとかそんなのがあったような…」

銀魂高校にしてみれば意外と普通なジンクスだなぁ。

 

 

 

「夏もありやすぜィ」

「夏は花咲いて無いよ?」

葉っぱしかないから、こうして日陰利用するほかに何も無い気がするんだけど…。

「夏の夜中に、ここで…人を呪うと効果的なんですぜィ

「それジンクスじゃなくてただの呪いだろうがァァァ!!」

「誰も土方さんを呪ってるなんて言ってやせんぜ。自意識過剰でさァ」

いやいや思いっきり土方君見て言ってたよね今。

 

 

 

 

 

「それで、ほんとにそんなジンクスあるの?」

「銀魂高校じゃジンクスなんていくらでもあるネ。どれが正確なのかさっぱりなのヨ」

神楽ちゃんは肩をすくめてふぅっとため息をついた。

「まぁ呪いのジンクスなんていらないしね」

退君も続けて言う。

「喜ぶのは一人しかいねーだろ」

じろっと沖田を睨んで言う土方君。

「失礼ですねィ。

…っともうすぐ授業ですぜィ。めんどくせーなァ」

 

おひらきだねー、と言いつつ荷物を片付ける。ごみはちゃんと校舎内のゴミ箱に捨てる。

神楽ちゃんのごみの量が恐ろしいほど多い所為でゴミ箱はいつも一気に満杯になる。

 

 

 

 

 

今日も神楽ちゃんと沖田の間に火花が散る。今回は、どっちが先に教室に戻るか、らしい。

毎回顔合わせるたびに何かと争ってるよなー。そして巻き込まれる退君。

なんてぼーっと3人を見てたら、土方君が呟いた。

「卒業式」

「え?」

「卒業式の後に、ここでリボンと第二ボタンを交換すると恋が成就する…らしいぜ」

真顔で言うもんだからちょっと吃驚した。

 

「…近藤さんが言ってたんだよ!俺が調べたわけじゃねぇ!」

「あぁ、なるほど」

ジンクスとか信じそうな人だからなぁー。

土方君がそういう恋愛ジンクス調べてたら…うっわ、笑える!!

「何笑いかけてんだコラ」

「ぶふっ、な、なんでもないよ…!」

引きつる顔を手で押さえてなんとか平常心を保つ。

「…まぁ実際叶ったヤツは聞いたことねーけどな」

「あ、そうなんだ」

ジンクスっていうくらいだから叶った人も多いかと思ったけどなぁ。

 

「何なら試してみるか?

 

「…は?」

土方君は、すっとしゃがんであたしと同じ目線にする。

ひゅぅっ、と冷たい風が吹き抜ける。

「俺と、試してみるか?恋仲になるかどうか」

「は、え、えぇぇええ!?」

何をイキナリ言い出すんだこの人は…!!

 

 

「…くくっ、冗談だっつーに」

視線を元に戻して、喉で笑う。ちょっ、一瞬どきっとしちゃったじゃない!不覚!

「もうちょっとでチャイム鳴るな…走るぞ!」

「あ、うんっ!」

ぐいっと手を引っ張られる。

って足の長さが違うんだから!そんなに早く走れるかぁぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンクス:桜の木の下


(俺ァジンクスなんざ頼らねーよ。…まぁ一応、最終手段にとっておこうか…。)


 

 

 

 

 

 

 

あとがき

誰ともオチてないですね!(痛

普通にお昼食べました☆みたいな日常話になってしまいました…;

最初は土方オチだったので最後でこっそり出番を作ってみました。げふん。

2007/08/28