キーンコーンカーンコーン、と今日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。

鐘が鳴ると皆一斉に帰る準備を始める。

 

 

「あの、ちゃん」

「うん?あれ、どーしたの新八くん」

荷物を鞄につめ終えたところで声を掛けられる。

 

 

「あのさ、今日の帰りって予定ある?」

は私と帰るアル!」

突如あたしと新八くんの間にずいっと入ってきた神楽ちゃん。

新八くんは「うわっ」と言って驚いた。

 

 

「…そーいうことだそうで」

「そうヨ!私とのデートを邪魔するんじゃないヨ眼鏡!」

「眼鏡なめんなよ!ってそうじゃなくって、あの、昨日のお礼に駄菓子屋でも行かない?って言おうと…」

「さー行くヨ、新八ィ!」

 

「「単純ッ!!」」

 

あたしと新八くんのツッコミは、ほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校から帰る途中にある駄菓子屋さんに着いたあたしたち。

真っ先に神楽ちゃんがお店に入っていく。

 

「…で、あのさ、昨日のお礼って?」

「忘れてたのォォ!?日直!かわってもらったじゃん!」

「あ。あーあー、そうだったね!」

 

 

そういえばそうか。昨日帰りまで頑張って日直日誌の一言欄に悩まされて…。

……うん、なんか思い出さないほうがいいことを思い出しそう。

 

 

「どうかした?ちゃん?」

「う、ううん!べっつにぃー!」

 

ぶんぶんと頭を振って、あたしたちもお店へ入る。

すでにアイスを持った神楽ちゃんが遅い遅い、って言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駄菓子屋から近い公園のベンチでアイスを食べていた。

 

「…っていうか、何で僕が神楽ちゃんの分までおごらなきゃいけないわけ?」

「ケチケチすんじゃねーヨ」

そう言ってぽん、と新八くんの肩を叩く神楽ちゃん。

 

「いや、そりゃ一個ならいいけど、何で三個?

「これでも妥協してあげたアル。感謝しろヨ」

「うんうん。普段ならアイス五個に駄菓子ごっさりだもんねぇ」

「普通の感覚に戻ってきてちゃん!!」

 

 

 

 

 

既にアイス二個を食べ終えて、三個目を食べ始めてる神楽ちゃんが呟いた。

「ちくしょー、またハズレヨ」

「そりゃしょっちゅう当たってたらお店儲からないでしょ」

がさがさと包みを開けながら、今度こそー!と言って気合をいれる神楽ちゃん。

 

 

 

 

「あたしも当たったことないなぁ」

「僕もないなぁ」

「私はこの一本にかけるアル!!」

 

あたしのアイスが残り僅かになってきた。

けれどやっぱり当たりの文字は見当たらない。

 

 

 

 

内心実は悔しがってるあたしと、物凄い勢いでアイスをほお張る神楽ちゃんを見て新八君は言う。

「まぁ、神楽ちゃんは既にみっつ食べてるんだからいいじゃん」

「何がアルか?」

「当たったらもう一本…でしょ?」

 

 

「違う違う。ここの駄菓子屋はね、当たりがでたらんまい棒10本プレゼント!なんだよ!

なんでだァァ!!何の関係もないじゃん!!」

 

ビシッっと親指を立てて言ったあたしに、思いっきりツッコミをする新八くん。

あぁ、なるほど。これだけ気合入れてつっこんでもらえるとなんだか嬉しいものがあるね。

 

 

 

そんなことを考えていると神楽ちゃんが立ち上がって大声を上げた。

「ほああぁぁぁああ!!」

「ど、どうしたの!?」

突然立ち上がった神楽ちゃんにびっくりしたのか、新八くんは少しどもって言った。

 

 

「もしや…やったのかい、神楽の旦那ァ!」

「あぁ…きた、きたぜ…!私はやったアル…!」

「ついに、ついにあたしたちが悩まされてきたヤツを…!」

「そうヨ!ついにヤツを「さっさと言えェェエ!!」

 

 

新八くんはあたしたちのドラマ風やりとりに、つっこまずにはいられなかったみたい。

 

 

「っていうかどんな設定だ!」

「警部とその補佐」

「長年追い続けてた殺人犯を逮捕したっていう設定ヨ」

「いらねーだろその設定!しかも何で殺人犯!?」

 

まぁ、確かにアイコンタクトのみでよく通じ合えたよね、神楽ちゃんとあたし。

長い間仲良しでいるからかな!

 

 

「そうヨ、本題ネ。やっときたのヨ、当たりが!!」

バンッとあたしたちに見せ付けるようにアイスの棒を掲げる。

「じゃあ急いで駄菓子屋戻らなきゃ!」

「え、そんなに?」

「そうそう。これね、駄菓子屋のおばあちゃんが客の顔覚えてるうちに代えに行かないといけないんだ」

「なんだそれェェ!!」

 

 

 

新八くんが叫ぶと同時くらいに神楽ちゃんがあたしの手を引っ張る。

「急ぐヨ!」

「おうよ!新八くんも、行こっ!」

 

そう言ってぐいっとあたしは新八くんの手を引っ張る。

「え、あ、うん!」

 

 

 

 

 

そしてあたしたちは、駄菓子屋のおばーちゃんにんまい棒を貰った。

…ちょっと強引に思い出してもらって、ね。

 

 

 

 

 

 

 

「みんなで山分けするアル!」

「新八くんは何味がいい?」

「えーと、おすすめってある?」

 

 

 

 

 

 

アイスの当たりくじ


(び、っくりした…。って僕にはお通ちゃんが!!…でも、ちゃんともっと仲良くなりたいかも。友達として、ね。)


 

 

 

 

 

 

 

あとがき

新八夢のつもりだったんですけどね、彼はボケがいないと、書くのが難しくて神楽友情出演です。

そしたらえらく神楽が濃くなって誰夢かわからなくなったっていうね!(ぁ

2008/04/05