「あー、かったりー…」

「しょうがないよ、掃除なんだし」

 

そう言いながら箒で床を掃くあたしと土方くん。

ホコリよりもお菓子のごみとかのほうが多いんだよね、この教室。

 

 

「何でィおふたりさん。つまらなさそうですねィ」

「あたりめーだろ」

「そこで提案なんですけどねィ」

 

にやりと笑って人差し指をピシッと立てる沖田。

「見たところ掃き掃除は終わったみたいですし、残るはぞうきん掃除!

皆さっさと帰りてェんだから、ここは誰か1人に任せやしょう」

 

「…いや、皆帰りたいんだから誰も立候補しないでしょ。あたしもパス!」

「そいつを今から決めるんでさァ」

「何で?」

 

「……ぞうきん野球でいきやしょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのとき教室掃除をしてたメンバー、

あたしと、土方君、沖田、神楽ちゃん、退くんの5人で勝負は始まった。

けど、野球には人数が足りないからキャッチボール…いや、キャッチぞうきんという

何とも嫌なネーミングの闘いが始まったのだ!

 

 

「ちなみに1回でも落としたらソイツが掃除ですぜィ」

「望むところヨ!!さっさと終わらせて一緒にミッスドーナツ行くアル!」

「うん今日10%オフだしね!!」

 

 

 

 

「んじゃいくぜィ…死ね土方ァァァ!!!

ギュオンッ!っと物凄い勢いで土方君に向かってぞうきんを投げる沖田。

「ハンッ!来ると思ってたぜ…死ね沖田ァァァ!!!

こちらもビュオオッ!と物凄い勢いで投げる。

 

 

 

 

「…ぞうきんからする音じゃないよね」

「だ、だよね…」

予想外の壮絶さに驚きかたまるあたしと退くん。

 

 

「余所見してる場合じゃねーぜ!」

「うげっ、ちょっと怖ッ!!!」

ベチン!と音を立ててあたしの手におさまるぞうきん。

 

 

「痛ぁッ!ちょ、どんだけ勢いつけてんのよ!!」

…ここはもう戦場ですぜィ」

ひゅうう、と窓から吹く風に髪をなびかせていう沖田。

 

 

 

「くそう…しょうがない、か…。んじゃいくよ退、くんッ!!」

沖田や土方君みたいな音は出ないけど、っていうかでないのが普通だけど思いっきり投げる。

それを軽々とキャッチする退くん。

 

「悪いけど、一人で掃除は勘弁だからね…いくよ、神楽ちゃんッ!」

上から叩きつけるように投げる退くん。…あれ、なんかミントンフォームじゃね?

「ふっ…このくらいちょろいもんアル。さっさと勝敗つけるなら、こう投げるアルよ!!」

 

思いっきり振りかぶって沖田めがけてぞうきんを投げる神楽ちゃん。

…っていうかぞうきん縦に回転してるんだけど!!すごっ!!

「ふん、考えたなチャイナァ!だが俺にそんな小細工は通用しねェ!」

 

パシン!!とぞうきんを両手で挟み取る。

す、すっご…白刃取りみたいなんだけど。え、マジで戦場なわけ?

 

「土方さん、この間山崎が土方さんのケータイいじくってやしたぜィ!!」

「ザキ…!てめーか俺のケータイ全部初期設定にしやがったのはァァァ!!」

沖田からのぞうきんを受け取った瞬間に退くんに向かって投げる土方君。

 

「ちょっ…!言いがかりですって!俺じゃないですって!沖田さんですよ!!」

ビュンッ、と沖田に向かって投げる退くん。

 

「お前そんな地味な嫌がらせしてるアルか?ガキアルな!」

「何でィ、お前なんか今日学校来る途中の坂道でんまい棒落としたのに気ィとられて思いっきりコケてただろィ!」

「お前何で知ってるネ!!あの時は定春しかいなかったハズヨ!!」

神楽ちゃんは動揺したせいでちょっと力が緩まってる。

沖田ってほんと恐ろしいな…。なんで知ってるんだろ。

 

 

 

「そういえば昨日ケーキ1人で5個も買ってやしたねィ!太りやすぜィ」

何で知ってるんだお前ェェェエエエ!!!

反射的に沖田に向かってぞうきんを投げる。

ひ、日ごろお世話になってるお隣のお兄さんへのお礼に買ったんだよ!……2個は!

 

 

「おっと…!やるじゃねーか

「うっさい!!っていうかどんだけ情報通なのあんた!!」

「常に人の弱みはチェックしてまさァ」

 

 

さらりと怖い発言をしつつぞうきんを投げる。

「あとは…土方さんこの間スーパーのマヨ売り場で緑キャップのマヨにメンチ切ってやしたねィ!」

緑キャップって…コレステロール半分の体にいいやつだっけ。

 

「当たり前だ!!マヨは赤キャップが基本だろうが!!!」

ビュンッと神楽ちゃんにぞうきんが飛ぶ。

 

「そんな地味なこだわりいらないネ!ジミーならもう足りてるヨ!」

ギュン、と退くんにぞうきんが渡る。

 

「ジミーって俺かァァ!!地味じゃなくて普通なだけだァァ!!」

ビュンッ、とあたしにぞうきんが来る。

 

「っていうか何この微妙な言い合い!!今新八くんいないんだからツッコミいないでしょうがー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふ…そろそろ体力も落ちてきやしたねィ…っつーことでこれで最後にしやしょーや」

全員をぐるりと見据える沖田。

 

「最後はやっぱ…土方ァァ!!…と見せかけて山崎ィィ!!!」

今までの比にならないほどの音を立てて飛んでいくぞうきん。

…あ、あたしじゃなくてよかった!

 

 

「何で俺ェェ!?」

対する退くんは物凄い怯え具合。

そりゃそうだろうね、だってさ、当たったら死にそうだもんアレ!

 

 

一度は受け止めようとしたものの、寸前のところで顔をかすってぞうきんは退くんの後ろの窓に

バッチーーーン!!と凄い音を立ててぶつかった。

 

 

 

 

「よーっしゃ!んじゃ後は頼みやしたぜィ山崎ー」

何食わぬ顔で鞄を持つ沖田。

 

 

 

「…オイ、窓にぞうきんの痕ついてんぞ」

「あれはヤバイアル」

「よ、よけてよかったね退くん」

「…うん」

 

 

 

「んじゃ帰るヨー!」

「そーだねー」

あたしも鞄を持って扉に手をかけた瞬間、ガラッと扉が開いた。

 

 

「お前らなァ…何してんだよ」

 

だるそうに。それはもう、物凄くだるそうに扉を開けて入ってきたのは銀八先生。

「職員室のほかのセンセーから苦情が来てんだよ!うるせーっつーかさっき一瞬学校揺れたらしいぞオイ!」

 

 

「あ、それ多分沖田の所為です」

とばっちりを受けるのはごめんだからビシッと言っておく。

「何言ってんでィ、連帯責任にきまってんだろーが」

「っつーか学校揺らすとかどんなだよ。何してたんだお前ら」

 

「ああ、それは、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぞうきん野球


(「お前ら中学生かァァ!!!今度は俺も混ぜろ!」「やりたかったんじゃん!実はやりたかったんじゃん!!」)


 

 

 

 

 

 

 

あとがき

なんか久々にテンション高いのを書いた気がします。

テスト週間って妙にこういうテンション高いギャグが書きたくなるんですよね!(勉強はどうした

野球のルールよくわからないバカ娘なんでキャッチぞうきんで許してあげてください。

2007/11/25