今日は珍しく少し早めに学校に来ています、ですおはようございまーす!

…なんて心の中のテンションをあげつつ、靴をはきかえる。

先生もいない、生徒も少ない、とっても静かな明るい学校の廊下を歩いて、Z組の戸をあける。

 

 

「おはよう。今日は早いじゃないか、

「おはよー…っていうか桂くんこそ早いね!!」

戸をあけた瞬間、読書をしていた桂くんが顔を上げてそういった。

え、あたし結構早く来たのに…この人いつからいるの!?

 

 

 

「学級委員長として、一番に教室にいなくては、と思ってな」

「すっごいねー…あたしには真似できないわー」

 

そう。今日は、ただ偶然早く目が覚めてしまっただけ。

そして先週の土曜日の恨みを晴らすべく、いつもより早く登校したんだけど…。

桂くんは、いつもこんなに早かったんだ…。すごいなぁ。

 

 

 

「…っていうかエリザベスは?」

「エリザベスは朝忙しいようでな。一応学校には来ているのだが、教室に来るのはもう少し後だ」

とことん不思議な生活をしているようです、エリザベス。

 

 

 

そんな他愛も無い話をしていると、廊下からすぱすぱと気の抜けた音が聞こえてきた。

そろそろ皆も来たかな、と思っていた時、ガラリと教室の戸が開いた。

 

 

「…あれ、何でまでいんの?今日早くね?」

「銀八先生!…先生こそ、今日は珍しく早いんですね」

「何だろう、いま凄く心にぐさりときた気がするんだけど気のせい?」

「気のせいです」

 

 

 

「ってそうじゃなくて。頼みがあんだよ」

戸をあけたまま、教室に入らずその場で喋る先生。

「何ですか」

「朝のホームルームまでに、ジャンプ買ってきてくれ

 

 

「「……はぁ?」」

 

見事に、あたしと桂くんの声がハモった。

 

「今から職員会議でよォ。ちゃんと金は渡すから、行って来てくれ!」

「帰りに行けばいいじゃないですか」

「そーですよー!」

ぶーぶーと文句を言うあたしたち。

 

 

「お前らしらねーんだろ!たとえ月曜日でもなァ、コンビニ行ったら売り切れてる場合だってあるんだぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…押し負けた」

「そう言うな。早く済ませて帰ればいいだけだ」

「ううー…」

 

幸いにも、学校から割と近くにコンビニが一件ある。

そこを目指して、あたしと桂くんはすたすたと歩いていた。

 

 

 

「…っていうか、先生一応職員会議とか出てたんだ」

「銀八ならサボりそうなものだけどな」

「だよねー」

 

今頃先生はくしゃみでもしてるんじゃないかと思いながら歩いているうちにコンビニに到着した。

 

 

 

「じゃ、あたしここで待ってるから」

「ああ」

そう言って桂くんはコンビニへ。

 

 

 

…あれ、あたしなんで着いてきたんだろう。

ノリで?その場に偶然居合わせちゃったから?

うーん…なんで来ちゃったんだろう。別に1人でもできることじゃん。

しかもさぁ、こんな朝っぱらから2人で………ふたりで。

 

 

 

「…あ、あぁぁああ!!

「何を叫んでるんだ

若干あきれた顔でコンビニから出てきた桂くんの空いている手を掴んで言う。

 

 

 

「重大なことに気がついたの。皆が登校して来る前に早く学校戻らなきゃ!!」

「な、にをそんなに急いでいる?」

「ああああのね、」

 

 

 

どうもさっきから、犬の散歩してるおばさんとかにチラチラみられてると思ったら、そりゃそうだよ。

ふたりじゃん。あたしと、桂くん。男と女がふたりで歩いてたら傍から見ればデートじゃん!

うおおお、桂くんに申し訳ねぇ!

 

 

 

「だーかーら、せめてクラスの皆に見つからないうちに、逃げ…っていうか避難よ避難!」

「確かに、このままでは風紀に引っ掛るな。よし、、走るぞ!」

「おうよっ!」

 

 

 

朝の爽やかな風が吹き抜けるなか、あたしと桂くんはダッシュしていた。

「もう、ほんと、ごめんね!誤解とかされてたら、あたし、全力で否定するの手伝うから!」

「は?何の話だ?」

「だから、あたしが、桂くんの、彼女とかだと思われたときは、否定するの手伝う、よ!」

 

 

走りながら桂くんを横目で見ながらそういう。

長い黒髪が風になびいて、くやしいけどあたしより綺麗だ。

 

 

「あぁ…そこは、別にいい」

「…え?」

「それよりも重大なことがある」

「あ、そ、そうなの?」

 

 

それって何、と聞こうとした頃には、学校に到着していた。

タイミング逃した…!聞けないじゃん、その重大なこと。

 

 

 

 

「あー…人に見つかってないと良いね」

「まぁ、大丈夫だろう」

 

結構時間がたったように感じてはいたけれど、それほど時間はたっていなかったみたい。

運よく昇降口にも人はいなかった。

 

 

 

「あ、じゃああたしジャンプ届けてくるよ。さっき桂くんがコンビニ行ってくれたし」

「いいのか?じゃあ、頼んだぞ

「まっかせろーい!」

 

 

 

 

 

 

ジャンプを片手に廊下を歩く。

まったく、早く学校に来るとろくなことがない。

 

明日からはまたゆっくり来よう…。

 

 

…でも、桂くんと喋れたのは楽しかったな。

 

 

 

 

 

 

誰かジャンプ買ってきて





(朝に2人で歩いていたら、朝帰りみたいだろうが。…まぁ、嫌ではないが…な。)


 

 

 

 

 

 

あとがき

なんだろうこのお話(ぁ

っていうかうちのヒロインって結構走ってばっかりな気がしてきた…!

2008/03/31