「あー…ー、ー」

「銀ちゃんうるさいアル」

さっきから銀ちゃんはこーやっての名前ばっかり呼んでてうるさいネ。

 

 

名前を呼ばれてるは、さっき食べ終えた朝ごはんの食器を洗いに台所へ行ってるネ。

私たちがいる居間にも、水が流れる音がかすかに聞こえてくるアル。

 

 

 

名前を呼ぶだけじゃ足りなくなったのか、銀ちゃんは自分のイスに座って身体を揺らす。

ギシギシ音がしてうるさいアル。

さっきから読んでるジャンプの内容が頭に入ってこないネ。

 

 

 

 

「もー、銀ちゃん!洗い物する間くらいは大人しくまっててよー」

エプロンで水に濡れた手を拭きながら居間に来たは困ったように言った。

そーアル。もっと言ってやればいいヨ

 

 

 

「無理無理。銀さんから3分以上離れられねーの。ほら、こっち来いって」

「あたしまだ洗濯物干してこなきゃいけないんだよ」

なんて言いながらも、は両手を広げて構える銀ちゃんの所へ歩いていく。

結局いつもこうなるネ。

なんだかんだいって、は銀ちゃんに甘いアル。

 

 

 

「洗濯物ならさっき新八が干しに行ったヨ、

「え、ほんとっ!?あらら…後でお礼言わなきゃね」

「じゃあ心置きなく俺と一緒にいられるな」

「うわっ、ちょっと銀ちゃんっ!?」

仕事がないって分かったとたん、傍に寄っていたの腰に手を回す銀ちゃん。

 

 

 

「ちょ、ちょっと…銀ちゃん、恥ずかしいから!ほら、はやく手はなして!」

「離して欲しいなら力づくでどーぞ?」

立ったまま顔を赤くして慌てるに、にやにや笑いながら言う銀ちゃんはなんか変態くさいアル。

っていうか、銀ちゃんはもうちょっと私がいることも考えるヨロシ。

そういうのは2人でいるときにやるものネ。

 

 

 

「力づくって…」

「何だよ、は俺に触れるのが嫌なのか?」

拗ねたような声を出して銀ちゃんは未だ立ったままのを見上げる。

 

 

「そうじゃなくて!ほら、あたしさっきまで洗い物してたから、手冷えてるんだよ」

「だから?」

「銀ちゃんの手、冷えちゃうでしょ」

は少し首を傾けて、ね?、と同意を求めるように言った。

 

 

 

「おまっ…可愛いなコノヤロー!!」

「うわあああ銀ちゃん!?」

更に慌てるを、銀ちゃんは軽く抱えて膝の上に座らせてぎゅーっと抱きしめる。

 

「んなこと気にしなくていーんだよ。寧ろあっためてやるよ」

右手での身体を支えたまま、宙を彷徨っていたの手を左の手でぎゅっと握る。

 

 

 

 

 

座ってるのがだるくなってきた私は、ソファにうつ伏せに寝転がる。

それと同時くらいに、新八が居間に戻ってきたアル。

 

 

「あ、さん洗濯物干しておき…ましたよ」

…途中で言葉が途切れるのも無理ないネ。

 

「ごめんね、今日あたしの当番なのに…」

「いっ、いいえ!これくらい平気ですから!」

「ありがとう、新八くん」

にっこり笑ってお礼を言うに新八は赤くなって、首を立てに2,3回振ってソファに座った。

それから机の上に放置されていた新聞を手に取った…けど、それ逆向きヨ。

 

 

 

 

 

「こんな状態で他のこと気にしてんじゃねーよ」

そう呟いて銀ちゃんはの手を握っていた左手を、の頬に添える。

銀ちゃんはもっと他のことを気にするべきアル。

 

 

「ぎ、んちゃん?」

「…なぁ。俺のこと以外考えらんねーようにしてやろうか」

断定的な言い方で言う銀ちゃんに、が首を傾げようとしたとき。

銀ちゃんの顔がの顔に近づいて、ちゅ、という音がしたアル。

…と同時に、私の向かい側に座る新八の手元でめしゃっという紙がよれる音が聞こえた。

 

 

 

「ぎ、ぎぎぎ銀ちゃんっ!?な、なにっ…!?」

は顔を真赤にして、両手で口を押さえる。

が俺以外のこと考えらんねーように……おまじない?」

今度は銀ちゃんが少し首を傾げて言うけど、おめーじゃ可愛くねーヨ。

 

 

 

でもには、そんな銀ちゃんが可愛く見えちゃったみたいネ。

「…あたしは、いつだって銀ちゃんのことで頭一杯だよ、当たり前でしょ!」

そう言っては銀ちゃんのおでこに軽くキスをした。

 

「…俺だってのことで頭一杯だコノヤロー」

 

 

 

 

 

 

 

結局このあと、しばらくの間と銀ちゃんはずーっとベタベタしてたアル。

目閉じてたら、つい寝ちゃって気がついたら背中に毛布がかかってたネ。

多分がやってくれたアル。

 

 

…なんで、は銀ちゃんみたいな駄目男に惚れちゃったアルか。

絶対、他にもっともっといい人がいたはずヨ。ならもっといい男がみつかるはずネ。

むしろ私が一生を守ってあげたいくらいアル。

 

 

まあ、私は幸せそーにしてると銀ちゃんが好きだから、多めにみてやるネ。感謝しろヨ!

 

 

 

 

 

 

人目も憚らずにキス





(でも私らがいるときにちゅーするのはやめろヨこのバカップル共!結局ジャンプ読めなかったアル!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

甘いの書くの苦手なので、語り役にツッコミをいれてもらうことにしました。素敵なお題をありがとうございます!

それにしても神楽ちゃんの口調が難しかった…!書いてて楽しかったんですけどね

ちなみに新八は最終的に新聞を破り捨てて気分転換に買い出しに行ったらしいですよ。

2008/12/25